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- 法人企業統計15年10-12月期~経常利益が4年ぶりに減少、企業部門の改善に陰り
2016年03月01日
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1.製造業の経常利益が大幅減少
一方、非製造業は個人消費を中心とした内需の低迷を反映し、売上高が11四半期ぶりの減少(7-9月期:前年比0.1%→10-12月期:同▲3.2%)となったものの、売上高経常利益率が14年10-12月期の4.3%から5.1%へと改善したことが増益につながった。人件費は4四半期連続で利益率の悪化要因となったが、原油価格下落と円安の一巡に伴い変動費の減少幅が7-9月期の前年比▲1.0%から同▲4.6%へと大きく拡大し、変動費要因が利益率を1ポイント以上押し上げた。
経常利益の内訳を業種別に見ると、製造業は、はん用機械が前年比12.9%(7-9月期:同▲39.8%)と2四半期ぶりの増加となったものの、業務用機械(前年比▲29.7%)、電気機械(同▲30.9%)、情報通信機械(同▲70.0%)、輸送用機械(同▲15.1%)など軒並み二桁減益となった。
非製造業では、物品賃貸業(前年比▲23.8%)は減益となったものの、建設業(前年比21.4%)が好調を維持したほか、売上高が前年比▲4.8%の減少となった卸売・小売業も増益(前年比4.5%)を確保した。
経常利益の内訳を業種別に見ると、製造業は、はん用機械が前年比12.9%(7-9月期:同▲39.8%)と2四半期ぶりの増加となったものの、業務用機械(前年比▲29.7%)、電気機械(同▲30.9%)、情報通信機械(同▲70.0%)、輸送用機械(同▲15.1%)など軒並み二桁減益となった。
非製造業では、物品賃貸業(前年比▲23.8%)は減益となったものの、建設業(前年比21.4%)が好調を維持したほか、売上高が前年比▲4.8%の減少となった卸売・小売業も増益(前年比4.5%)を確保した。
2.設備投資は堅調を維持も先行きは減速へ
企業収益が急減速する一方、設備投資は底堅さを維持している。ただし、これは企業収益が好調だった時期に計画された設備投資がようやく実施されたことを反映した動きと考えられる。企業の設備投資意欲を示す「設備投資/キャッシュフロー比率」は依然として50%台半ばの低水準で推移しており、企業の設備投資意欲がここにきて大きく高まったわけではない。
2/26に内閣府から公表された「企業行動アンケート調査(2015年度)」によれば、今後5年間の実質経済成長率見通し(いわゆる期待成長率)は1.1%となり、前年度から0.3ポイント低下した。「設備投資/キャッシュフロー比率」は期待成長率との連動性が高いため、先行きも企業の設備投資意欲が大きく高まることは見込めない。企業収益の悪化を受けて先行きの設備投資は減速する可能性が高い。設備投資が景気の牽引役となることは当分期待できないだろう。
2/26に内閣府から公表された「企業行動アンケート調査(2015年度)」によれば、今後5年間の実質経済成長率見通し(いわゆる期待成長率)は1.1%となり、前年度から0.3ポイント低下した。「設備投資/キャッシュフロー比率」は期待成長率との連動性が高いため、先行きも企業の設備投資意欲が大きく高まることは見込めない。企業収益の悪化を受けて先行きの設備投資は減速する可能性が高い。設備投資が景気の牽引役となることは当分期待できないだろう。
3.10-12月期・GDP2次速報は1次速報とほぼ変わらず

設備投資は前期比1.4%から同1.2%へと下方修正されるだろう。設備投資の需要側推計に用いられる法人企業統計の設備投資(ソフトウェアを除く)は前年比8.9%と11四半期連続で増加したが、7-9月期の同11.2%から伸びが鈍化した。一方、金融保険業の設備投資は前年比4.5%と7-9月期の同1.1%から伸びを高めた。
法人企業統計ではサンプル替えに伴う断層が生じるため、当研究所でこの影響を調整したところ、設備投資の伸びは前年比7%台となり、公表値より伸びが低くなった。本日の法人企業統計の結果は設備投資の下方修正要因と考えられる。
民間在庫は1次速報で仮置きとなっていた原材料在庫、仕掛品在庫に法人企業統計の結果が反映されるが、1次速報の前期比・寄与度▲0.1%から変わらないだろう。その他の需要項目では、12月の建設総合統計が反映されることなどから、公的固定資本形成が1次速報の前期比▲2.7%から同▲3.2%へと下方修正されると予想する。
(2016年03月01日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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