2015年12月28日

インドの生命保険市場(4)-インドのアポインテッド・アクチュアリー制度はどのような仕組みで運営されているのか-

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2|ガイダンス・ノート(Guidance Note)

あくまでも「推奨される実務」として、規定されている。以下が、主要なガイダンス・ノートである。

(1)GN06(剰余の分配に関しての有配当生命保険の管理)
 剰余の分配としての配当率の決定におけるアセット・シェア手法の採用等について規定している。

(2)GN22(生命保険事業の保証に対する負債評価) 
 最低保証給付や解約価格の設定のような組込デリバティブに対する負債評価を行う場合に使用される手法等について規定している。
(参考)インド・アクチュアリー会(Institute of Actuaries of India)

インド・アクチュアリー会の正会員になるには、試験をパスしなければならないが、この試験は、(1)筆記試験、(2)実務試験、の2つのタイプに区分される。さらに、試験は、以下の4つのステージに分かれている。

(a)第1ステージ(コア・テクニカル)
ファイナンス、確率・統計、モデリング等の9科目で必須

(b)第2ステージ(コア・アプリケーション)
保険数理リスク管理、モデル文書化分析と報告、コミュニケーションの3科目で必須
(後者の2科目が実務試験)

(c)第3ステージ(スペシャリスト・テクニカル)
 生命保険、年金、医療、ファイナスと投資、ERM(統合的リスク管理)等の6科目の中から、2科目選択

(d)第4ステージ(スペシャリスト・アプリケーション)
 生命保険、年金、医療、損害保険、ファイナンス、投資の6科目の中から1科目選択

上記の全てのステージをパスし、3年以上の実務経験等の要件を満たすものが「Fellow(正会員)」となる。また、相互資格認定を行っている他国のアクチュアリー会の正会員等が「Affiliate(提携会員)」となる。さらに、第1ステージ、第2ステージの必須の12科目をパスしたものが「Associate(準会員)」となる。

なお、2015年3月末の会員数の分布は、下の図表の通りである。
 
インド・アクチュアリー会(IAI)の会員数(2015年3月末)

4―まとめ

以上、今回のレターでは、生命保険会社の財務面の管理において、極めて重要な役割を果たしているアポインテッド・アクチュアリー制度の概要を紹介した。国際的な監督規制の見直し等の動きもある中で、保険数理評価やその監督報告要件に関する事項については、現在さらなる見直しが検討されている。これにより、アポインテッド・アクチュアリーが作成する報告書の充実等が行われ、アポインテッド・アクチュアリーの役割がさらに高められていくことが想定されている。

次回のレターでは、アポインテッド・アクチュアリーが作成するARAやAAARといった報告書の中でも重要な位置付けが与えられている「リスク管理」に関する項目に関して、インドの生命保険会社に求められている資産負債管理(ALM)やストレス・テストの内容等について、報告する。
 

(2015年12月28日「基礎研レター」)

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