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- インドの生命保険市場(1)-巨大国インドの生命保険市場はどのような状況にあるのか-
2015年11月30日
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(2)生命保険会社の収入保険料
2013年度の生命保険会社の収入保険料は、314,283.20 crore(千万)ルピー(1ルピー=1.85円
とすると、約5.8兆円)となっている。
その過去からの推移を、国営のLICとLIC以外の民間との内訳別に見てみると、下の左図の通りとなっている。2000年8月に市場が民間保険会社に開放されて以降、2010年まで保険料は急速に増加してきていたが、2010年9月のユニット・リンク保険商品(ULIPs)に対する規制の見直し7等を受けて、ここ数年は保険料の伸びが鈍化している。
(3)生命保険会社の市場シェア
上の右図が、LICとLIC以外の収入保険料シェアの推移を示している。
LICのシェアは、2010年までは徐々に低下してきていたが、民間保険会社においてウェイトが高いユニット・リンク保険が監督規制の影響等で販売が低迷したことから、ここ数年は若干上昇していた。ただし、2014年の新契約保険料では、経済環境の改善を受けた好調な株式市場や各社の新商品の投入等により、ユニット・リンク保険の販売が回復したこともあり、民間保険会社のシェアが上昇し、LICのシェアは低下している。この状況は、2015年度に入っても継続している8。
2013年の収入保険料の各社別・払方別・商品別の内訳は、次ページの表の通りである。
会社別では、国営のLICが3/4のシェアを有し、残りの1/4の市場を23の民間保険会社が分け合っている。
LICでは、一時払保険料の構成比が高くなっており、会社全体の収入保険料の1/4程度を占めている。LICは、ユニット・リンク保険等のリンク保険9を殆ど販売しておらず、収入保険料の構成比は1%程度でしかない。
一方で、民間保険会社は、リンク保険の構成比が高く、民間全体では5割近い構成比となっている。
2013年度の生命保険会社の収入保険料は、314,283.20 crore(千万)ルピー(1ルピー=1.85円
とすると、約5.8兆円)となっている。
その過去からの推移を、国営のLICとLIC以外の民間との内訳別に見てみると、下の左図の通りとなっている。2000年8月に市場が民間保険会社に開放されて以降、2010年まで保険料は急速に増加してきていたが、2010年9月のユニット・リンク保険商品(ULIPs)に対する規制の見直し7等を受けて、ここ数年は保険料の伸びが鈍化している。
(3)生命保険会社の市場シェア
上の右図が、LICとLIC以外の収入保険料シェアの推移を示している。
LICのシェアは、2010年までは徐々に低下してきていたが、民間保険会社においてウェイトが高いユニット・リンク保険が監督規制の影響等で販売が低迷したことから、ここ数年は若干上昇していた。ただし、2014年の新契約保険料では、経済環境の改善を受けた好調な株式市場や各社の新商品の投入等により、ユニット・リンク保険の販売が回復したこともあり、民間保険会社のシェアが上昇し、LICのシェアは低下している。この状況は、2015年度に入っても継続している8。
2013年の収入保険料の各社別・払方別・商品別の内訳は、次ページの表の通りである。
会社別では、国営のLICが3/4のシェアを有し、残りの1/4の市場を23の民間保険会社が分け合っている。
LICでは、一時払保険料の構成比が高くなっており、会社全体の収入保険料の1/4程度を占めている。LICは、ユニット・リンク保険等のリンク保険9を殆ど販売しておらず、収入保険料の構成比は1%程度でしかない。
一方で、民間保険会社は、リンク保険の構成比が高く、民間全体では5割近い構成比となっている。
3―生命保険商品の状況-貯蓄・投資型商品が主力-
インドは貯蓄志向の高い文化を有しているとされている。
現在は、ノン・リンク保険の伝統的商品では、養老保険タイプが主力商品となっている。加えて、定期保険やマネー・バック・タイプ(定期的に定額を支払う生存給付金タイプ)の保険が提供されている。
終身保険については、LICのWebサイトからの情報によれば、基本的には「被保険者の死亡時」に保険金額と配当金を支払うものであるが、昨今の長寿化を考慮して、「80歳又は契約後40年間のいずれか遅い時点」で、保険金額と配当金を支払う方式に変更した、としている。なお、保険料は「80歳又は契約後35年間のいずれか遅い時期」まで、支払うこととしている。ただし、LICは、現在は終身保険を提供していない。
民間保険会社を中心に提供されているユニット・リンク保険は、保険料の一部が保障のための保険料に充当され、残りは様々なファンドに投資される。
なお、2010年の商品ガイドラインの改訂以降は、多くの会社の商品開発において、リンク保険からノン・リンク保険の伝統的商品へのシフトが見られた。
以上に加えて、年金(Annuity、Pension)や(参考1)2|で説明する医療保険も提供されている。
現在は、ノン・リンク保険の伝統的商品では、養老保険タイプが主力商品となっている。加えて、定期保険やマネー・バック・タイプ(定期的に定額を支払う生存給付金タイプ)の保険が提供されている。
終身保険については、LICのWebサイトからの情報によれば、基本的には「被保険者の死亡時」に保険金額と配当金を支払うものであるが、昨今の長寿化を考慮して、「80歳又は契約後40年間のいずれか遅い時点」で、保険金額と配当金を支払う方式に変更した、としている。なお、保険料は「80歳又は契約後35年間のいずれか遅い時期」まで、支払うこととしている。ただし、LICは、現在は終身保険を提供していない。
民間保険会社を中心に提供されているユニット・リンク保険は、保険料の一部が保障のための保険料に充当され、残りは様々なファンドに投資される。
なお、2010年の商品ガイドラインの改訂以降は、多くの会社の商品開発において、リンク保険からノン・リンク保険の伝統的商品へのシフトが見られた。
以上に加えて、年金(Annuity、Pension)や(参考1)2|で説明する医療保険も提供されている。
4―生命保険販売チャネルの状況-個人保険はエージェント、団体保険は直接販売中心-
5―生命保険会社の資産運用の状況-中央や州の政府発行・保証の有価証券のウェイトが高い-

生命保険会社の総資産のうち、16.9%にあたる331,661 crore ルピー(約6.1兆円)がユニット・リンクファンドである。
残りの1,625,804 crore ルピー(約30.1兆円)が伝統的商品に対する資産であり、その構成比は右図の通りである。
中央政府や州政府等の有価証券が6割弱を占めている10。
なお、この資産を商品ファンド別に見てみると、以下の表の通りとなっている。商品構成を反映して、民間保険会社におけるユニット・リンクファンドの構成比が高くなっている。
10 認可有価証券や認可投資の具体的な内容は、保険法第2条及び第27A条に規定されている。
(2015年11月30日「基礎研レター」)
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中村 亮一のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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