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- 投資不足続くユーロ圏-ECBの追加緩和だけでは解決できない
2015年11月20日
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- ユーロ圏経済は様々な悪材料にも関わらず緩やかな回復が続いているが、回復のペースは、生産活動の水準に照らし合わせると明らかに物足りず、投資不足は続いている。
- 投資環境が好転しても、投資回復のペースが上がらないのは、域内市場の成長期待の低下という根本の要因に加えて、外部環境の不透明感が強まっていることも影響している。
- 財政健全化のために、公共投資を削減し、その後も水準が回復していないことも、投資不足の一因だ。EUの欧州委員会は、2014年以降、加盟国の財政政策の評価にあたり、「財政緊縮一辺倒」ではなく、「成長に配慮した財政健全化」を求めるようになり、財政健全化ルールの解釈も柔軟化した。
- 各国が財政政策の軌道修正に動き出したことも、ユーロ圏の緩やかな回復を支えているが、成長指向の財政政策は、主に減税や社会保険料負担の軽減などを通じたもので、財源確保のため歳出の削減措置を伴うため、公共投資の水準の回復には結びつき難い。
- 欧州中央銀行(ECB)は、12月3日の政策理事会で追加緩和を決める見通しだ。追加緩和はユーロ高圧力の緩和効果はあるが、投資不足への効果は限られる。長期停滞打開のための財政出動への期待が高まることになりそうだ。
(2015年11月20日「Weekly エコノミスト・レター」)
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経歴
- ・ 1987年 日本興業銀行入行
・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
・ 2023年7月から現職
・ 2011~2012年度 二松学舎大学非常勤講師
・ 2011~2013年度 獨協大学非常勤講師
・ 2015年度~ 早稲田大学商学学術院非常勤講師
・ 2017年度~ 日本EU学会理事
・ 2017年度~ 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
「欧州政策パネル」メンバー
・ 2022年度~ Discuss Japan編集委員
・ 2023年11月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員
伊藤 さゆりのレポート
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