2015年10月19日

利益調整に関する財務指標に着目した信用リスク分析-「粉飾」に起因した企業倒産の予見は可能か?

金融研究部 金融調査室長・年金総合リサーチセンター兼任 福本 勇樹

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■要旨

  • ここ数年「粉飾」に起因した企業倒産が増加傾向にある。「粉飾」等により財務指標が「良く」なるように調整されている場合、通常の財務分析で信用力の悪化を検知するのは難しくなる。
  • 本レポートでは、先行研究における不正会計検出モデルのインプリケーションから、「利益調整」に関する財務指標(Accruals Ratio)に着目した分析方法を提案する。
  • Accruals Ratioを用いた信用リスクモデルを日本の企業倒産事例に適用した結果、業績悪化による企業倒産だけではなく、「粉飾」等に起因した企業倒産についても検知できる可能性があることが分かった。
  • 特に2006年以降の企業倒産において、「粉飾」に限らず「過度の利益調整」によって企業倒産したと思われるケースが増えていることが示唆される。
  • 信用リスク分析で用いられる典型的な財務指標において、信用力の悪化を捕捉するのが難しくなってきているものがあり、当該信用リスクモデルはその補完的な役割が果たせる可能性がある。

   1.はじめに
   2.利益調整に着目した不正会計検出モデル
   3.日本におけるAccruals Ratioの特徴
   4.順序ロジットモデルを用いた倒産確率の推定
   5.Altman Z ScoreモデルとAccruals Ratioの関係
   6.まとめ

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金融研究部   金融調査室長・年金総合リサーチセンター兼任

福本 勇樹 (ふくもと ゆうき)

研究・専門分野
金融・決済・価格評価

経歴
  • 【職歴】
     2005年4月 住友信託銀行株式会社(現 三井住友信託銀行株式会社)入社
     2014年9月 株式会社ニッセイ基礎研究所 入社
     2021年7月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会検定会員
     ・経済産業省「キャッシュレスの普及加速に向けた基盤強化事業」における検討会委員(2022年)
     ・経済産業省 割賦販売小委員会委員(産業構造審議会臨時委員)(2023年)

    【著書】
     成城大学経済研究所 研究報告No.88
     『日本のキャッシュレス化の進展状況と金融リテラシーの影響』
      著者:ニッセイ基礎研究所 福本勇樹
      出版社:成城大学経済研究所
      発行年月:2020年02月

(2015年10月19日「基礎研レポート」)

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