- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 金融・為替 >
- 金融政策 >
- 割れる追加緩和観測、緩和を巡る論点整理と見通し~金融市場の動き(8月号)
2015年08月07日
- (政策) エコノミストなどの追加緩和に対する見通しが大きく割れており、「緩和あり派」と「緩和なし派」がほぼ拮抗状態にある。ただし、日銀が掲げる「16年度前半に物価上昇率2%達成」が困難ということはほぼ共有されており、期限内の物価目標達成が困難であることが明らかとなった時の日銀の対応についての見方が分かれていることが、緩和見通しが割れている要因になっている。具体的な論点としては、(1)緩和の限界をどう見るか?(2)追加緩和なしの物価目標変更は有り得るか?(3)日銀はこれ以上の円安を望んでいないのか?という点があり、それぞれの見解によって、追加緩和「あり」と見るか、「なし」と見るかに分かれる。ちなみに、筆者は「追加緩和あり」だと考えており(理由は本文に記載)、時期は来年1月が濃厚と見ている。日銀は出来る限り追加緩和を温存するが、「秋からの物価上昇加速」が想定を下回ることが冬に事実として判明し、追加緩和に踏み切るというシナリオだ。今年末以降は米利上げ(12月と予想)に伴って、金融市場が不安定化するリスクもあるため、その場合には市場対応という意味合いも帯びる。緩和手段としては、ETFの買入れと付利の引き下げ、買入れ対象の拡大を予想している。なお、リスクシナリオも存在する。原油安によってインフレ期待が剥落する事態、景気が7月以降も回復しない事態だ。この際には年内に追加緩和に踏み切る可能性がある。
- (日銀金融政策) 日銀は7月ならびに8月の決定会合で金融政策を維持した。近頃、輸出や消費に弱い動きがみられるが、日銀は強気の見方を維持している。
- (市場の動きと予想) 7月は円とユーロに対してドルが上昇。長期金利はやや低下した。目先は米雇用統計がカギを握るが、基本的に9月利上げ観測が高まりやすい地合いが見込まれ、ドル円は堅調、ユーロドルは弱含み、長期金利は若干の水準切り上げを予想。
(2015年08月07日「Weekly エコノミスト・レター」)
このレポートの関連カテゴリ
03-3512-1870
経歴
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
上野 剛志のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2024/11/08 | 実質賃金の回復を急げ-持続的な生産性向上に向けた議論を | 上野 剛志 | 基礎研マンスリー |
2024/11/01 | 為替介入の軌跡を振り返る~2022年以降のまとめと今後の行方 | 上野 剛志 | Weekly エコノミスト・レター |
2024/10/28 | 実質賃金の回復を急げ~持続的な生産性向上に向けた議論を | 上野 剛志 | 研究員の眼 |
2024/10/23 | 円安再燃、1ドル160円に逆戻りするリスクは?~マーケット・カルテ11月号 | 上野 剛志 | 基礎研マンスリー |
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2024年11月08日
英国金融政策(11月MPC公表)-新予算案を受けてインフレ見通しを上方修正 -
2024年11月08日
米FOMC(24年11月)-予想通り、政策金利を▲0.25%引き下げ。パウエル議長が任期途中での辞任を否定 -
2024年11月08日
内外株式ファンドで売却膨らむ~2024年10月の投信動向~ -
2024年11月08日
基礎研REPORT(冊子版)11月号[vol.332] -
2024年11月08日
実質賃金の回復を急げ-持続的な生産性向上に向けた議論を
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
-
2024年02月19日
News Release
【割れる追加緩和観測、緩和を巡る論点整理と見通し~金融市場の動き(8月号)】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
割れる追加緩和観測、緩和を巡る論点整理と見通し~金融市場の動き(8月号)のレポート Topへ