- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 金融・為替 >
- 金融政策 >
- ドル円再始動、今後の展開は?~金融市場の動き(6月号)
2015年06月05日
- (為替) 5月下旬以降、急速な円安ドル高が進行したが、投機主導によるドル高の色彩が強い。今後も中期的には、日米金融政策の違いや本邦貿易赤字の再拡大、国内投資家による対外投資という3つの理由から円安ドル高基調が続きそうだが、当面のドル円の方向性は米経済の反発力にかかっている。一段のドル高には、市場が前のめりぎみに織り込んできた期待に沿うような景気回復力が示されることが必要だ。回復力が乏しいようだと、反動で一旦ドルが下落し、改めて情勢を見極める地合いになるだろう。ただし、景気回復が示されドル高が継続するとしても、数ヶ月以内に130円台が定着するような急激なドル高シナリオは考えにくい。急激なドル高自体がドル安材料になりかねないためだ。さらなるドル高は景気の逆風になるだけに、今のところドル高容認スタンスを維持している米政府に変化が出てきてもおかしくない。また、さらなるドル高で景気減速リスクが台頭し、物価下落圧力が高まると、FRBも利上げに対して慎重になり、ドル高けん制が増える可能性が高い。ドル高によって利上げが遅れるかもしれないという観測だけでも、ドル高の抑制圧力になる。目先の注目は、米雇用統計と6月のFOMCとなる。当面の相場を方向付けるイベントになりかねないだけに、極めて重要性が高い。
- (日銀金融政策) 日銀は5月の決定会合で金融政策を維持したが、景気判断を上方修正した。総裁会見でも前向きな発言が従来以上に目立ち、日銀の強気なスタンスが強化された印象。物価低迷化で動向を見極める時間を確保することが目的と推測される。
- (市場の動きと予想) 5月は大幅な円安ドル高となり、ユーロドルも下落、長期金利はやや上昇した。当面の為替は米雇用統計次第だが、市場予想に近い内容であればドルが上値を試す展開に。ユーロと長期金利は過剰反応が収まるにつれて下落・低下へ。
(2015年06月05日「Weekly エコノミスト・レター」)
このレポートの関連カテゴリ
03-3512-1870
経歴
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
上野 剛志のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2024/10/01 | 日銀短観(9月調査)~景況感はほぼ横ばい、設備投資は堅調維持、日銀の見通しに概ね沿った内容に | 上野 剛志 | Weekly エコノミスト・レター |
2024/09/19 | 資金循環統計(24年4-6月期)~個人金融資産は前年比98兆円増の2212兆円と過去最高に、リスク性資産への投資が進む | 上野 剛志 | 経済・金融フラッシュ |
2024/09/18 | 日銀短観(9月調査)予測~大企業製造業の業況判断DIは1ポイント低下の12と予想、価格転嫁の勢いに注目 | 上野 剛志 | Weekly エコノミスト・レター |
2024/09/17 | 円相場は一時1ドル140円割れ、円高は続くか?~マーケット・カルテ10月号 | 上野 剛志 | 基礎研マンスリー |
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2024年10月03日
暑さ指数(WBGT)と熱中症による搬送者数の関係 -
2024年10月03日
公的年金の制度見直しは一日にしてならず -
2024年10月03日
市場参加者の国債保有余力に関する論点 -
2024年10月03日
先行き不透明感が晴れない中国経済 -
2024年10月03日
市場構造の見直しと企業価値向上施策による株式市場の活性化
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
-
2024年02月19日
News Release
【ドル円再始動、今後の展開は?~金融市場の動き(6月号)】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
ドル円再始動、今後の展開は?~金融市場の動き(6月号)のレポート Topへ