- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 米国経済 >
- 【6月米個人所得・消費支出】消費支出は、大幅な増加となった前月の反動もあって伸びは鈍化
【要旨】
1.結果の概要:個人消費支出は前月から伸びが鈍化
8月3日、米商務省の経済分析局(BEA)は6月の個人所得・消費支出統計を公表した。個人所得(名目値)は、前月比+0.4%(前月改定値:+0.4%)となり、前月と同水準、市場予想(Bloomberg集計の中央値、以下同様)の+0.3%は上回った。一方、個人消費支出(名目値)は、前月比+0.2%(前月改定値:+0.7%)と、市場予想の+0.2%には一致したものの、前月から伸びが大幅に鈍化した。また、価格変動の影響を除いた実質個人消費支出も、前月比▲0.02%(前月改定値:+0.4%)となり、市場の横這い予想に概ね一致したものの、僅かながらマイナスに転じた。貯蓄率1は4.8%(前月改定値:4.6%)と前月から0.2%ポイント上昇した。
価格指数は、総合指数が前月比+0.2%(前月:+0.3%)と市場予想(+0.2%)に一致したものの、前月から低下した。また、変動の大きい食料品・エネルギーを除いたコア指数は、前月比+0.1%(前月+0.1%)と、こちらは前月および市場予想(+0.1%)に一致した(図表6)。なお、前年同月比では、総合指数が+0.3%(前月:+0.2%)、コア指数が+1.3%(前月改定値:+1.3%)となった(詳細はPDFを参照)。
2.結果の評価:消費の伸びは鈍化
6月の個人消費支出(前月比)は、15 年2月以来の低調な伸びに留まった。前月が非常に高かっただけにその反動がでたとみられるが、5月も+0.9%から+0.7%に下方修正されており、消費のモメンタムは強くない。
一方、個人所得は前月の底堅い伸びが持続しており、貯蓄率は、前月から小幅上昇に転じた。このため、所得との対比で消費は余力を残した形となった。
価格指数は、前月比ではエネルギー価格の上昇が鈍ったこともあり、総合指数は前月から伸びが鈍化した。前年同月比では、総合指数が前月から小幅上昇したものの、水準としてはゼロ%近辺に留まっているほか、コア指数もFRBが目標とする2%の水準を大幅に下回っており、物価上昇圧力はみられない。さらに、足元では再び原油価格が下落に転じていることから、今後物価には低下圧力が高まる可能性が高い。物価面からは、FRBが政策金利引上げを急ぐ理由は見出し難いと言えよう。
(2015年08月04日「経済・金融フラッシュ」)
このレポートの関連カテゴリ
03-3512-1824
- 【職歴】
1991年 日本生命保険相互会社入社
1999年 NLI International Inc.(米国)
2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
2014年10月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
窪谷 浩のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2024/10/25 | 米労働市場の緩やかな減速が継続-景気が堅調を維持する中、失業率の大幅上昇は回避へ | 窪谷 浩 | Weekly エコノミスト・レター |
2024/10/21 | 米住宅着工・許可件数(24年9月)-着工件数は前月から小幅に減少も市場予想を上回る。戸建て住宅に回復の兆し | 窪谷 浩 | 経済・金融フラッシュ |
2024/10/07 | 米雇用統計(24年9月)-非農業部門雇用者数は前月比+25.4万人と市場予想の+15.0万人を大幅に上回る | 窪谷 浩 | 経済・金融フラッシュ |
2024/09/30 | 米個人所得・消費支出(24年8月)-年次改定に伴い貯蓄率は大幅上方修正 | 窪谷 浩 | 経済・金融フラッシュ |
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2024年10月25日
金融システム、特に保険と年金基金のリスクと脆弱性に対する助言等の公表(欧州 2024秋)-EIOPA等の合同報告書の紹介 -
2024年10月25日
米労働市場の緩やかな減速が継続-景気が堅調を維持する中、失業率の大幅上昇は回避へ -
2024年10月25日
副業・兼業で広がるキャリア戦略~会社視点の働き方改革から生き方改革へ~ -
2024年10月24日
24年9月末時点の経過措置適用企業の進捗状況~経過措置の適用は2025年3月から順次終了~ -
2024年10月23日
円安再燃、1ドル160円に逆戻りするリスクは?~マーケット・カルテ11月号
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
-
2024年02月19日
News Release
【【6月米個人所得・消費支出】消費支出は、大幅な増加となった前月の反動もあって伸びは鈍化】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
【6月米個人所得・消費支出】消費支出は、大幅な増加となった前月の反動もあって伸びは鈍化のレポート Topへ