- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 金融・為替 >
- 金融政策 >
- 5月マネー統計~通貨供給量が急拡大
■見出し
・貸出動向: 伸び率は僅かに縮小
・マネタリーベース: 巡航速度での積み上げが進む
・マネーストック: 伸び率が急拡大
■要旨
5月の銀行貸出(平均残高)の伸び率は前年比2.6%と前月から僅かに縮小した。都銀等の伸びが鈍化し、全体の伸び率鈍化に繋がっているが、前年同月に実行されたM&A資金の反動とのことであり、基調が崩れたわけではなさそうだ。四半期ベースで公表される業種別貸出状況(3月末時点)を見ると、これまで遅れていた製造業の伸び率に改善が見られ、円安効果が資金需要の面で一部現れてきた可能性がある。なお、3月の新規貸出金利については、長期(1年以上)が0.826%に低下し、過去最低を更新している。
日銀による資金供給量を示すマネタリーベースの5月平均残高は304.3兆円、前年比で35.6%の増加となった。前年比での伸び率は前月からやや拡大している。日銀券(紙幣)発行残高の伸び率が高い伸びを示したほか、日銀当座預金の伸び率も前月を若干上回ったためである。現行の金融政策目標におけるマネタリーベース増加ペースは単純計算で月当たり6.7兆円増だが、季節調整踏みのマネタリーベース平均残高は1-5月平均で見ると月7.0兆円の増加となっており、これまでのところは金融政策に沿ったペースでの拡大が続いている。
5月のマネーストック統計によると、市中通貨量の代表的指標であるM2平均残高の伸び率は前年比4.0%、M3は同3.3%と、それぞれ前月から大きく拡大した。資金流出要因となる貿易赤字の縮小、予算成立遅れに伴う社会保障費支払いのずれ込み、株価上昇に伴う個人投資家の株式売却などがプラスに働いたとのこと。リスク性資産等を含めた広義流動性 の伸び率も前年比4.3%と拡大、M3を上回る伸び率を示している。投資信託や金銭の信託が寄与した。今回の伸び率は大きく拡大したが、一時的とみられる要因も含まれているだけに、実勢は今後のデータを見極める必要がある。
このレポートの関連カテゴリ
03-3512-1870
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
(2015年06月09日「経済・金融フラッシュ」)
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2024年04月19日
年金将来見通しの経済前提は、内閣府3シナリオにゼロ成長を追加-2024年夏に公表される将来見通しへの影響 -
2024年04月19日
パワーカップル世帯の動向-2023年で40万世帯、10年で2倍へ増加、子育て世帯が6割 -
2024年04月19日
消費者物価(全国24年3月)-コアCPIは24年度半ばまで2%台後半の伸びが続く見通し -
2024年04月19日
ふるさと納税のデフォルト使途-ふるさと納税の使途は誰が選択しているのか? -
2024年04月18日
サイレントマジョリティ⇒MAGAで熱狂-米国大統領選挙でリベラルの逆サイレントマジョリティはあるか-
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年04月02日
News Release
-
2024年02月19日
News Release
-
2023年07月03日
News Release
【5月マネー統計~通貨供給量が急拡大】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
5月マネー統計~通貨供給量が急拡大のレポート Topへ