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- 4月マネー統計~マネタリーベースが史上初の300兆円突破
■見出し
・貸出動向: 伸び率は横ばい
・主要銀行貸出動向アンケート調査: 資金需要の増勢が鈍化
・マネタリーベース: 史上初の300兆円突破
・マネーストック: 緩やかな増加が続く
■要旨
4月の銀行貸出(平均残高)の伸び率は前年比2.7%と前月(2.7%)比で横ばいとなった。引き続き、M&A資金やREIT向け、不動産向けなどが好調であったとみられる。なお、貸出の実勢とは関係ないが、今後、年末にかけて緩やかな円安進行を想定したとしても、前年比での円安ドル高幅は秋以降に大きく縮小し、外貨建て貸出の円換算額を押し上げ効果が剥落していくことで貸出残高押し上げ効果も低減していく点には留意が必要。
主要銀行貸出動向アンケート調査によれば、2015年1-3月期の(銀行から見た)企業の資金需要増減を示す企業向け資金需要判断D.I.は低下。前回に比べて増勢は鈍化している。また、個人向けD.I.も低下となったが、企業向けよりは堅調。1-3月の歴史的な低金利がある程度貸出の促進材料になった様子が現れている。
日銀による資金供給量を示すマネタリーベースの4月平均残高は300.3兆円と初めて300兆円を突破。その伸び率は前年比35.2%と前月から横ばいとなった。なお、現行の金融政策におけるマネタリーベース増加ペースは「年間約80兆円増」であり、単純計算で月当たり6.7兆円増が必要になる。4月の季節調整踏みのマネタリーベース増加額は4.8兆円と未達であったが、1-4月の月平均では6.6兆円の増加となっており、今のところは金融政策に概ね沿ったペースでの拡大が続いている。
4月のマネーストック統計によると、市中通貨量の代表的指標であるM2平均残高の伸び率は前年比3.6%、M3は同3.0%と、それぞれ前月から横ばいとなった。一方、M3にリスク性資産等を含めた広義流動性の伸び率は前年比3.1%と前月から縮小した。
M3や広義流動性などのマネーの前年比伸び率は比較的高い水準を保っているが、直近ピークであった13年終盤~14年始めの伸び率にはかなり及ばず、季節調整済前月比の伸びも鈍化傾向にある。従って、現状としては、「勢いはそれほど強くないものの、緩やかな増加が続いている」という評価が妥当だろう。
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(2015年05月14日「経済・金融フラッシュ」)
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