- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 米国経済 >
- 【5月米雇用統計】雇用者数は28万人増。「量」だけでなく「質」の改善も伴った好結果。
【要旨】
1.結果の概要:雇用者数の伸びは2ヵ月連続で20万人超
6月5日、米国労働省(BLS)は5月の雇用統計を公表した。5月の非農業部門雇用者数は前月対比で+28.0万人の増加1(前月改定値:+22.1万人)となり、前月から伸びが大幅に加速、市場予想の+22.6万人(Bloomberg集計の中央値、以下同様)も大幅に上回った。
失業率は5.5%(前月:5.4%、市場予想:5.4%)と、こちらは前月から小幅上昇し、市場予想も上回った。一方、労働参加率2は62.9%(前月:62.8%)と前月から0.1%上昇した(詳細はPDFを参照)。
2.結果の評価:労働市場の回復持続を確認
5月の雇用増が20万人台後半に加速したほか、後述のように不振だった3月の雇用増加数が上方修正された結果、直近3ヵ月の月間平均増加数は20.7万人となり再び20万人超のペースに復した。このため、3月の不振は悪天候などの一時的な要因による可能性が高まり、労働市場の回復基調に陰りがみられるのではとの懸念は払拭されたと言える。
失業率は、前月から小幅に上昇したが、中身をみると労働参加率の改善が示すとおり、労働力人口が力強く増加していることから心配はいらない。寧ろ、このことは職探しを諦めた人が労働市場の回復を背景に再び職探しをはじめた可能性を示唆しており、労働市場の「質」改善を示す良い兆候と考えて良いだろう。
さらに5月の時間当たり賃金は、24.96ドル(前月:24.88ドル)となり、前月比で+0.3%増加したほか、前年同月比でも+2.3%(前月:+2.2%)増加しており、4月から伸びが加速した。賃金の伸び加速も労働市場の「質」改善を示唆しており、非常に良い兆候だ。
このように、5月の雇用統計は雇用者数の増加ペースが加速し労働市場の「量」の改善がみられただけでなく、労働参加率の上昇や賃金上昇率の加速など、イエレン議長をはじめFRBが重要視する労働市場の「質」の改善もみられた。このため、FRBは政策金利引上げ開始の条件の一つとしている労働市場の「更なる改善」について自信を深めているだろう。4日に発表されたIMFの米国年次経済審査報告書では、政策金利の引上げを16年に先延ばしすることが政策提言された。しかし、今月の雇用統計によって年内の利上げの可能性が高まったとみられる。当研究所では利上げ開始時期を引き続き9月と予想している。
このレポートの関連カテゴリ
03-3512-1824
- 【職歴】
1991年 日本生命保険相互会社入社
1999年 NLI International Inc.(米国)
2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
2014年10月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
(2015年06月08日「経済・金融フラッシュ」)
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2024年04月30日
今週のレポート・コラムまとめ【4/23-4/26発行分】 -
2024年04月26日
ドイツの産業空洞化リスク-グローバル化逆回転はドイツへの逆風、日本への追い風か?- -
2024年04月26日
米GDP(24年1-3月期)-前期比年率+1.6%と前期から低下、市場予想の+2.5%も大幅に下回る -
2024年04月26日
滞留するふるさと納税 -
2024年04月26日
EUのDMA関連調査開始決定-GAFAそれぞれの問題を指摘
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年04月02日
News Release
-
2024年02月19日
News Release
-
2023年07月03日
News Release
【【5月米雇用統計】雇用者数は28万人増。「量」だけでなく「質」の改善も伴った好結果。】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
【5月米雇用統計】雇用者数は28万人増。「量」だけでなく「質」の改善も伴った好結果。のレポート Topへ