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外国人労働者と公的年金―外国人に働くインセンティブを、36ヶ月という壁の撤廃を!―
生活研究部 主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任 金 明中
■要旨
- 日本への外国人留学生数は1983年の10,428人から2013年には135,519 人に大きく増加している。
- 「留学生10万人計画」を達成した日本政府は、2008年には当時12万人程度であった留学生を2020年までに30万人まで増やすという「留学生30万人計画」を発表した。
- 留学生の9割以上はアジアからの留学生であり、彼らの日本での就職希望は高い。
- 日本で働いている外国人労働者の数は2013年10月末現在717,504人で、2007年に届出が義務化されて以来初めて70万人を超えている。
- 日本で老齢年金を受給するためには保険料を納めた期間や加入者であった期間等の合計が少なくとも25年にならないとならないが、外国人労働者がこの条件を満たすことは容易なことではない。
- 年金の受給資格期間を満たしていない外国人を救済する措置として脱退一時金という仕組みが設けられているが、脱退一時金の金額は納められた保険料の最大36ヶ月分に制限されている。
- 日本の年金制度は外国人労働者に日本で長い間働いてもらうために十分なインセンティブも提供しておらず、むしろペナルティに近い制度になっている。
- 今後、日本が必要とする外国人の方々に日本で覇気をもって働いてほしいという観点から、脱退一時金給付の算定基礎である36ヶ月という被保険者月数の上限を撤廃することが望まれる。すなわち、保険料の掛捨てとならないよう、36ヶ月を超えて保険料を納付した場合でも、納付額が返納されるようなしくみを導入することを考えるべきである。
- 加えて、早期に年金受給資格期間を25年から10年に短縮することが望まれる。年金受給資格期間が25年であると知った外国人の中には絶望的な気分になる者が出てくると思われるからである。今後の政府の対応に注目したい。

03-3512-1825
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