- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- >
- 証券市場 >
- 「レリゴー!」で日経平均16,000円超え
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
日本の株価が冴えない。先週まで「ニューヨーク株式市場ではダウ平均が史上最高値を更新」というニュースを何度も目にする中、日経平均は概ね14,000円台前半で推移している。「業績見通しが物足りない」、「米国の景気回復が思ったより鈍い」、「エルニーニョ発生で夏場の天候不順が心配」などの理由が取り上げられているが、米国など他の先進国と比べて日本株は割安に見える。きっかけさえ掴めば16,000円を超えても不思議ではないのだが・・・。状況証拠を集めてみた。
■取り残される日本株
図1は年明け以降の各国の株価である。ウクライナ情勢の緊迫化や中国景気への警戒などから各国とも1月に5%ほど値下がりしたが、その後は緩やかに回復した。各国とも大きく値上がりしたわけではないが、足下では昨年末の水準を上回っている。これに対して日本株の低迷ぶりが際立つ。2月と3月に反発する場面もあったが下落トレンドに入ったようにも見える。
「日本は昨年の値上がりが大きすぎたので調整するのが当然だ」という見方もあろうが、2月と3月に反発があったことから調整はある程度進んだとみることもできる。しかし4月以降だけを見ても各国から取り残されている。日本株を取り巻く環境はそんなに悪いのだろうか。
■企業業績の改善は続いている
株価を左右する重要な要素のひとつである企業の業績は着実に改善しており、決して環境が悪いとは思えない。図3は12ヶ月先予想EPS(1株あたりの利益、IBES予想、昨年5月末=100)を示しているが、アベノミクス効果によって日本企業の業績予想は5カ国の中で最も大きく改善した。
ポイントは年明け以降も改善傾向が続いていることだ。株価が諸外国に取り残された4月以降に限ってみても、改善の強さ(傾き)こそ米国やドイツに劣るものの、上向いていることに変わりはない。NYダウばかりが最高値を更新し、日本が日に日に取り残される明確な材料は見当たらない。
■フツーな米国、弱気な日本
問題は市場心理が冷え込んでいることだ。当然だと思われるかもしれないが、では、史上最高値を連日更新した米国株はバブルだろうか。筆者は違うと考えている。
図4は日米の予想PER(株価収益率=株価÷1株あたり予想利益)である。PERは「株価が利益の何倍まで買われているか」を意味するので、市場が強気なほど数値も高い。バブルとは過度に強気に傾いた状態を指す。
歴史的にはPER=15倍程度は株価が高過ぎも安過ぎもしない「いい湯加減」といえる。米国は15倍程度なので、このデータに基づけば決してバブルではない。むしろフツー(普通)だ。
一方、日本は13倍を下回る水準までPERが下がった。図3でみたように企業業績は着実に改善している。つまりファンダメンタルが悪化したわけではなく、市場の心理がやや弱気に傾いている状態と見ることができよう。言い換えれば市場心理が回復すれば株価は上昇する(当たり前だが)。
■「レリゴー!」で日経平均16,000円超え
では、妥当な株価はいくらか。日経平均ベースの1株あたり予想利益は約1,070円なので、PERが15倍なら株価は16,050円の計算になる(1,070円×15倍=16,050円)。繰り返すがPER=15倍は高すぎも安過ぎもしない、まさに「レリゴー!」(Let It Go!=背伸びも我慢もしないありのままの姿)である。大ヒット中の映画「アナと雪の女王」の熱気が冷める前に、そのときが来ると良いのだが。
(2014年05月19日「研究員の眼」)
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1852
- 【職歴】
1993年 日本生命保険相互会社入社
1999年 (株)ニッセイ基礎研究所へ
2023年より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会認定アナリスト
井出 真吾のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/01/09 | 日経平均4万円回復は? | 井出 真吾 | 基礎研マンスリー |
2024/12/23 | 日経平均4万円回復は? | 井出 真吾 | 研究員の眼 |
2024/11/06 | 「選挙は買い」は本当か | 井出 真吾 | ニッセイ年金ストラテジー |
2024/08/07 | 新NISAスタートから半年 理想を追ったら資産が半分に!?-長期投資で大失敗しないために | 井出 真吾 | 基礎研マンスリー |
新着記事
-
2025年03月14日
噴火による降灰への対策-雪とはまた違う対応 -
2025年03月14日
ロシアの物価状況(25年2月)-前年比で上昇が続き10%超に -
2025年03月14日
株式インデックス投資において割高・割安は気にするべきか-長期投資における判断基準について考える -
2025年03月13日
インド消費者物価(25年2月)~2月のCPI上昇率は半年ぶりの4%割れ -
2025年03月13日
行き先を探す“核の荷物”~高レベル放射性廃棄物の最終処分とエネルギー政策~
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
【「レリゴー!」で日経平均16,000円超え】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
「レリゴー!」で日経平均16,000円超えのレポート Topへ