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- 株価急落、なぜ?どこまで下がる?
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■1ヶ月で2,000円超の急落
2014年に入って株価が大きく下がっている。2月4日の日経平均は今年最大の下落幅となる610円安の14,008円で取引を終えた。心理的節目となる14,000円割れを辛うじて免れたものの、昨年末の16,291円から実に2,283円(14.0%)の下落である。年明けに2日続けて株価が下がったのを受け、筆者は前回のレポート『年初の株価下落をどうみるか。そして1年後の株価は?』で、「昨年12月後半は日経平均が大きく上昇し、適正ゾーンの上限を超えていた。株価の過熱感が年明けに調整された格好だ。仮に年明け以降も上昇を続けていればバブルに突入していたかもしれず、むしろ健全な下落と受け止めればよいだろう。」と述べた。
この時点(1月7日終値)で日経平均は15,814円。正直、「15,000円くらいまで下がってもおかしくない」とは思っていたが、僅か1ヶ月の間に2,000円以上も下がるとは想定していなかった。
■なぜ急落したのか
何故こんなにも下がったのだろうか。主な要因をおさらいしておこう。まず、前回のレポートにも書いたように昨年末の上昇が急ピッチだったこともあり、年明けに利益確定の売りが断続的に出たようだ。ここまでは大きなサプライズは無かった。
その後、1月10日に発表された米国の雇用統計が市場の予想を大幅に下回る内容。ただ、記録的な寒波による一時的な影響に過ぎず、月末のFOMC(連邦公開市場委員会)では金融緩和策の縮小が継続されるとの見方が多かった。そして、実際にFOMCでは市場予想どおり「緩和縮小の継続」が決定された。筆者はこの決定そのものは適切であったと考えている。なぜなら、緩和縮小ペースの変更は今後の不確実性を高め、FRB自身が市場に動揺を与えた可能性が高いからである。また、既定路線を変更しなかったことは、FRBが雇用統計の悪化は深刻ではないというメッセージを発したとも解釈できる。
急落のきっかけはFOMCの声明文にあると筆者は考えている。FOMCの約1週間前、中国の経済指標が予想外に悪かった。更にアルゼンチンの通貨ペソが急落し、市場では“新興国リスク”が大きく意識された(妥当性はともかく、事実として新興国リスクが警戒された)。しかし、声明文は新興国に触れなかった。これを市場は「FRBは新興国リスクを気にしておらず、今後、想定以上の厳しい対応を取るかもしれない。」と受け止め、リスクオフ(株式などリスク資産を売る行動)に傾いた。
更に、日本時間の2月4日未明に発表された米国の経済指標が予想外に弱かったことから、拠り所となっていた米国の景気回復に対して市場が懐疑的になった。米国株の急落やドル安(円高)も相まって売りが売りを呼ぶ展開、本日の610円安となったのだろう。真偽のほどは定かでないが、昨年まで日本株を大きく買い越した外国人が“売り抜け時”を探っていた様子も伺える。
■どこまで下がる?
では、今後の株価をどうみるか。図の雲のような部分は「企業業績からみた日経平均の適正ゾーン1」で、いわば“日経平均の実力”を表している。今日の終値14,008円は適正ゾーンのほぼ下限だ。昨年5月以降、日経平均(図の赤い折れ線)は何度も調整局面があったが、いずれも適正ゾーンの下限を下回ることはなかった。この経験則に従えば、今が株価の下値メドとなる。
実際、明るい材料もいくつかある。昨日まで9営業日連続で下げていたソフトバンク株が10営業日ぶりに反転した。時価総額最大のトヨタ自動車が取引終了後に発表したところでは、2014年3月期の連結営業利益が前期比8割増の2兆4,000億円で、6年ぶりに最高益を更新する見通しだという。また、業績低迷に苦しんでいたパナソニックは2013年4~12月期の最終損益が同期としては過去最高になったと発表した。
一方で、ヘッジファンドによる先物の買い持ち残高は1兆円ほどと言われ、このポジション解消が株価を下押しする可能性、着任したばかりのイエレンFRB議長に対する市場の評価はこれから、今週末に予定される米国雇用統計をきっかけに市場心理が更に悲観に傾くなど、リスク要因は多い。短期的にはこうしたリスク要因に振り回されることがあっても、日本株の価格を決める最大の要素は日本企業の業績であるはず。だとすれば、メインシナリオとしては、14,000円は下値メドと見てよいのではないか。
(2014年02月04日「研究員の眼」)
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03-3512-1852
- 【職歴】
1993年 日本生命保険相互会社入社
1999年 (株)ニッセイ基礎研究所へ
2023年より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会認定アナリスト
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