2014年02月05日

毎月勤労統計13年12月~所得環境は改善基調が明確に

押久保 直也

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■見出し

・現金給与総額は前年比で2ヶ月連続増加
・常用雇用者数は緩やかな増加基調が続く

■要旨

2月5日に厚生労働省から発表された2013年12月の毎月勤労統計(速報)によると、12月の現金給与総額は前年比0.8%(11月:前年比0.6%)となり、2ヶ月連続で増加した。速報から確報になる際に、下方修正(過去6ヶ月の平均▲0.1%)される傾向があることを考慮しても、12月の確報では現金給与総額は前年比でプラスとなるだろう。
ただし、消費者物価が上昇基調を強めていることから、12月の実質賃金は前年比▲1.1%(11月:前年比▲1.4%)となり、6ヶ月連続で減少している。
現金給与総額の内訳を見てみると、所定内給与が前年比▲0.2%と19ヶ月連続でマイナスとなったものの、所定外給与が前年比4.6%と増加したため、定期給与(所定内給与+所定外給与)は前年比0.2%と19ヶ月ぶりに増加した。また、特別給与は前年比1.4%と4ヶ月連続で増加している。すでに発表されている各種アンケート調査同様に、今年度の冬季賞与は昨年度よりも増加したとみられる。
所得環境は、所定内給与の減少が続いているものの、景気回復に伴う所定外給与の増加や企業収益の改善を受けた特別給与の増加から、現金給与総額が前年比で2ヶ月連続増加するなど、改善基調が明確になっている。さらに、2014年春闘においてベアが実現する可能性が高まっていることから、先行きの所得環境は改善に向かうだろう。ただし、消費者物価が上昇基調を強めていることから、実質賃金は6ヶ月連続で減少しており、個人消費の減速が懸念される。

12月の常用雇用者数は前年比1.0%(11月:前年比1.2%)となり、緩やかな増加基調が続いている。その内訳を見てみると、一般労働者は前年比0.6%と減少基調から脱しつつある中、パートタイム労働者は前年比2.1%と増加基調が続くなど、雇用環境に回復の兆しがみられる。
ここ最近まで明確に見られた給与水準の高い一般労働者(正規雇用)を減らし、その分を給与水準の低いパートタイム労働者(非正規雇用)で賄おうとする動きが緩和しているようにみえる。ただし、毎月勤労統計は速報から確報になる際に、一般労働者は下方修正(過去6ヶ月の平均▲0.3%)、パートタイム労働者は上方修正(過去6ヶ月の平均1.0%)される傾向がある。過去6ヶ月平均の修正幅を当てはめると、12月の確報では一般労働者は前年比0.3%、パートタイム労働者は前年比3.1%となる。速報から確報への統計上のクセを考慮しても一般労働者(正規雇用)が増加基調にある。
今後は、高齢化の進展に伴う需要の増加から医療福祉の雇用の更なる増加が見込まれるほか、鉱工業生産が持ち直しに向かうことで、製造業の雇用も少しずつ持ち直しに向かうとみられる。

(2014年02月05日「経済・金融フラッシュ」)

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押久保 直也 (おしくぼ なおや)

研究・専門分野
日本経済、財政

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