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- アジア新興国・地域の経済見通し ~景気減速感が強まり、安定成長へはまだ遠い
2013年09月20日
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- アジア新興国・地域では、低成長が長期化している。ASEAN主要国は堅調で、韓国・台湾・インドは不調というこれまで見られた二極化の構造は弱まり、タイやマレーシアといった国でも成長減速が見られる。
- 金融市場では、米国における量的緩和策縮小の観測が高まって以降、資金流出圧力がかかり続けている。特に、経常赤字国では自国通貨安が大きく進み、輸入インフレ圧力も増している。
- インフレ率はインドネシアとインドを除き安定している。そのため、これらの国・地域では金融政策も様子見姿勢が続いている。一方、インドネシアとインドではインフレ圧力の上昇に伴い、利上げを実施するほか、各種の通貨防衛策も講じている。
- 先行きに関しても景気抑制要因が強くなっている。足もとでは、中国向け輸出を中心に弱含んでおり、今年は外需の改善に期待が持てない。経常赤字国では通貨安に伴う輸入インフレと内需鈍化も懸念される。そのため、アジア新興国・地域の成長回復ペースは緩慢なものになるだろう。
- 金融市場については、今後も株・通貨の下落圧力がしばらく続くだろう。通貨に関しては、経常赤字という構造的な問題を抱える国では下落基調に歯止めを掛けることが難しいと思われる。ただし、すでに資本流出の動きが活性化していることから、今後はこれまでのような急激な下落が続くことも考えにくい。
- リスク要因としては、海外投資家の資金流出の動き(資金流入圧力の低下)が直接投資に波及すること、海外経済の回復が進まず輸出の改善が遅れること、金融市場において一時的に急激な変動がおきる可能性が指摘できる。ただし、通貨危機のような危機の発生リスクはほぼ無いだろう。金融市場の急変動も、一時的であれば実体経済には大きな影響を及ぼさないと言える。
(2013年09月20日「Weekly エコノミスト・レター」)
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経歴
- 【職歴】
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
アドバイザー(2024年4月~)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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