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- アジア新興国・地域の経済見通し ~金融市場が海外投資家に翻弄されるなか、実体経済にも不穏な空気が漂う
2013年06月21日
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- アジア新興国・地域は、低空飛行が続いている。ASEAN主要国は堅調で、韓国・台湾・インドは不調というこれまで見られた二極化の構造に変化はないが、堅調だったASEAN主要国でも成長率が鈍化しつつある。
- 金融市場では、米国における量的緩和策の縮小懸念を背景に、アジア新興国・地域から資金流出が起き、株価下落・自国通貨安に見舞われており、先行きの不透明感も色濃くなっている。
- ただし、これらの動きは株価のトレンドに変化をもたらすものではないと考えている。株価の調整が入った後、株の上昇圧力は和らぐ可能性が高いが、実体経済から乖離して株価の低迷が長期化する可能性は低いだろう。
- 為替の影響は国・地域によって異なる。韓国やフィリピン、タイではこれまで自国通貨高トレンドが進んでおり、輸出鈍化という悪い材料となっていたため、自国通貨安に振れることはポジティブな材料でもある。一方、インドやインドネシアは経常赤字国で、これまでも通貨安による輸入インフレの促進が懸念されていたため、一段の自国通貨安は、悪材料を助長するネガティブな材料である。
- 先行きについては、堅調なASEANを含め、やや不穏な空気が漂ってきたと考えられる。海外経済の改善が輸出の伸びに波及しておらず、海外経済のアジア経済の牽引力が弱まっていると見ていることから、成長率の改善幅は小さくなるだろう。
- 先行きのダウンサイドリスクとしては、海外投資家の資金流出の動き(資金流入圧力の低下)が証券投資に限らず、直接投資にまで波及してくることが挙げられる。また、金融市場において、短期的な変動幅が大きくなる可能性がある。これらは、一時的なものであれば実体経済に大きな影響を与えるほどには至らないと見ているが、リスク回避的な動きが広がり、海外投資家が直接投資を控える可能性がある点には注意が必要だろう。
(2013年06月21日「Weekly エコノミスト・レター」)
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経歴
- 【職歴】
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
アドバイザー(2024年4月~)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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