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- ユーロ危機の新たな段階 -債務危機から雇用危機へ
2013年05月31日
■要旨
- 12年夏をピークに、政府債務危機の連鎖による世界的な金融システムの混乱やユーロ崩壊への不安は後退しているが、ユーロ圏の景気後退は世界金融危機後を超える期間にわたり、失業率の上昇も続いている。
- ユーロ圏における失業の問題は、債務危機に見舞われた国で特に深刻である。南欧では、若年失業率の高止まり、失業の長期化など、債務危機の後遺症が長期にわたり経済成長を脅かすリスクが増大している。
- ユーロ圏内の失業問題の深刻さ、悪化のスピードの違いは、債務危機によるショックの違いを示す。労働市場における構造的な格差とその解消への取り組みや、再就職のための積極的労働市場政策に対する取り組みの違い、域内の労働移動の低調さも格差を増幅する要因となっている。
- 南欧が雇用の危機を脱するには、労働市場の硬直化につながる規制の改革、二重構造の解消に取り組むことが必要だが、それだけで雇用の増大が実現するわけではない。仲介機関のマッチング能力、職業訓練や教育の強化、さらに学校と仕事の移行を円滑化などALMPの有効な活用も欠かせない。銀行システムの強化を通じた中小企業の経営環境の改善、さらに成長分野での雇用機会の創出のための投資環境改善への取り組みも不可欠だ。
- ユーロの危機は、債務危機国の財政健全化と成長の両立、雇用の拡大を伴う成長が再開した時に、ようやく終わりを迎える。南欧に広がる雇用危機への問題意識を共有し、停滞気味の銀行同盟、財政同盟への議論に弾みがつくことを期待したい。

03-3512-1832
(2013年05月31日「基礎研レポート」)
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