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ダイナミック・ヘッジ活用とポートフォリオ管理について

金融研究部 企業年金調査室長 年金総合リサーチセンター・ジェロントロジー推進室・サステナビリティ投資推進室兼任 梅内 俊樹
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- 現在のような低成長かつボラタイルな市場環境で中長期的な年金資産の成長を図るには、ポートフォリオのダウンサイド・リスクの抑制が不可欠である。掛金収入より給付のための支出の方が多額となる成熟期にある基金ではその重要性は更に高い。
- ポートフォリオのダウンサイド・リスクを抑制するには、ポートフォリオを構成する資産の中でも最もリスクの高い株式に関わるリスクを引き下げるのが最も効果的であり、具体的な方法の1つとして株式・短資間のダイナミック・ヘッジが挙げられる。
- ダイナミック・ヘッジは、株価下落局面で株式から短資へのウェイトシフトを進めることで損失限定を目指す手法であり、株式・短資を対象とした順張り型アロケーション運用である。年金運用のポートフォリオ管理で一般的な逆張り型リバランスに逆行する戦略であるため、同手法を年金運用に取り込む場合には、リバランス運営ルールの再検討が欠かせない。
- ダイナミック・ヘッジを含む年金ポートフォリオにおいて3通りのリバランス方法でパフォーマンスを比較すると、「ダイナミック・ヘッジ・ポートフォリオを独立したアセットクラスとして扱う」リバランス方法(下表の方法3)が最も高いパフォーマンスとなった。ダイナミック・ヘッジの株式・短資間の取引に逆行するリバランス金額が少ないことが高パフォーマンスに寄与したものと推測される。
- 互いに相殺するポジション調整が頻繁に発生するのであれば、売買コストが無駄になるばかりか、折角のダウンサイド・リスク抑制機能が損なわれ兼ねない。ダイナミック・ヘッジのダウンサイド・リスク抑制効果を期待する以上は、その効果を阻害するリバランスを極力抑制すべきであるし、そのための1つの方策としてリバランスに関する運用責任者の裁量拡大を検討しても良いのではないだろうか。
(2012年02月24日「基礎研マンスリー」)
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03-3512-1849
- 【職歴】
1988年 日本生命保険相互会社入社
1995年 ニッセイアセットマネジメント(旧ニッセイ投信)出向
2005年 一橋大学国際企業戦略研究科修了
2009年 ニッセイ基礎研究所
2011年 年金総合リサーチセンター 兼務
2013年7月より現職
2018年 ジェロントロジー推進室 兼務
2021年 ESG推進室 兼務
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