2008年09月08日

08年4-6月期GDP2次速報予測(修正)~設備投資の推計方法変更に伴い、実質GDPの予測を前期比年率▲3.2%に変更

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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■introduction

・リース業の設備投資の推計方法が変更
財務省が9月5日に公表した法人企業統計の結果を受けて、当研究所では、08年4-6月期のGDP2次速報では、実質GDP成長率が前期比▲1.0%(前期比年率▲4.0%)と、1次速報(前期比▲0.6%、年率▲2.4%)から大幅に下方修正されると予測していた。
しかし、その後内閣府から設備投資の推計方法の変更が発表されたことを反映し、予測値を前期比▲0.8%(前期比年率▲3.2%)へと変更した。
これまで、ファイナンス・リースにおけるリース物件については、貸し手側では固定資産として計上され、借り手側ではオフバランス処理されることが多かったが、「リース取引に関する会計基準」の適用により、貸し手側では流動資産に計上され、借り手側では固定資産に計上されることとなった(財務省「法人企業統計」より抜粋)。
本来、貸し手側に計上されなくなった分は、借り手側に計上されることになるため、設備投資全体では会計基準変更の影響を受けないはずだが、財務省の調査によれば、固定資産が増加した法人のうち約9割は「リース取引に関する会計基準」を適用していない。このため、4-6月期の法人企業統計の設備投資は過小となっている可能性が高いと考えられる。
こうした状況を受けて、内閣府は、リース事業協会が発表している「リース取扱高」を利用して、会計基準変更の影響を除去したリース業の設備投資額を推計することとした。
このような推計方法の変更を反映した結果、設備投資の予測を9/5時点の前期比▲2.8%から同▲1.6%へ、実質GDPの予測を前期比▲1.0%(年率▲4.0%)から同▲0.8%(年率▲3.2%)へと上方修正した。ただし、1次速報に比べればともに下方修正であることは変わらない。また、設備投資以外の需要項目については、予測値を変更していない。

(2008年09月08日「経済・金融フラッシュ」)

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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