2008年07月01日

6月調査短観~収益の下振れ続く

総合政策研究部 常務理事 チーフエコノミスト・経済研究部 兼任 矢嶋 康次

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  1. 歯止めがかからない原材料高が企業マインドを直撃している。6月調査短観は大企業・製造業の業況判断DIがプラス5と前回調査から6ポイント、大企業非製造業の業況判断DIは10と2ポイント悪化した。大企業製造業は3期連続の悪化で2003年9月以来の低水準。非製造業は4期連続悪化で、04年6月以来の低水準。大企業を除きすべてがマイナスとなるなど3月調査からいっそう企業マインドは悪化している。
  2. 資源高などの影響を受け、企業の収益力がかなり弱ってきている姿が示されている。5年連続2ケタ増益を続けた収益は07年度下期から大きく崩れている。08年度についても海外需給に不安を示す大企業を中心に減益が続くとの計画だ。(1)資源価格の高騰継続、(2)米国、さらに新興国向けの需給が崩れる、などのリスクが高く、08年度の収益計画はさらに下振れる可能性が高い。
  3. 設備投資は6月調査特有のクセから3月調査から上方修正されたが、全規模・全産業で2002年度以来の低さ。収益悪化に伴い先送りがでたことが伺える。
  4. 業況判断DIなどのピークからの落ち込みから判断すれば、「景気後退」入りといってもおかしくない状況にある。しかし、一方で価格判断DIはオイルショックの水準まで達するなどインフレリスクの高さも示されている。日銀としては当面、両リスクを睨みながら現状維持を続けざるを得ないだろう。
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(2008年07月01日「Weekly エコノミスト・レター」)

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総合政策研究部   常務理事 チーフエコノミスト・経済研究部 兼任

矢嶋 康次 (やじま やすひで)

研究・専門分野
金融財政政策、日本経済 

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