2006年10月25日

保険販売仲介者としても巨大な米国の高齢者団体AARP

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■目次

1.はじめに AARPの概要
2.高齢層向販売の仲介者としてのAARP
3.AARP推奨の保険関連商品・サービス
4.おわりに

■introduction

AARPは高齢者を会員とする米国の非営利会員制組織(NPO)である。会員になるための要件は50歳以上であること。会員数は3,600万人に迫り、米国の50代以上の2.2人に1人が加盟する巨大な組織である。
発足は1958年。当時の米国には公的な老人健康保険がなかった。退職するとそれまで勤務先から提供されていた医療保険をも失ってしまう。こうした退職者を対象に、団体医療保険を提供したことからAARPの拡大が始まった。
長らく“American Association of Retired Persons(米国退職者協会)”を正式名称としてきた。しかし1983年に50歳にまで会員資格を広げたこともあって会員の半数近くが有職者となり、「退職者協会」という名称が実態にあわなくなった。そこで1999年に旧名称の頭文字をとってAARPへと名称変更された。
年会費は12.5ドル。会員向け情報誌(隔月発行)「AARP・ザ・マガジン」は全米最大の発行部数を誇る雑誌である。
膨大な数の会員を有するAARPは政治的にも強大なパワーを持っている。65歳以上老人を対象とする公的健康保険メディケアの創設(1965年)、定年制を廃止した年齢差別禁止法の制定(1967年)等には大きな影響を与えた。現在も高齢者にかかわる事項につき積極的に発言を行っている。
また「プログラム」と呼ぶ、地域の高齢者を支援する活動も展開している。「プログラム」の実施にあたっては、多くの会員ボランティアが活動しており、これがまた高齢者に活動の場を提供するものとなっている。「プログラム」としては、高齢者の納税申告手続きの支援、高齢者の自動車運転の再教育、等が有名である。「奉仕される側でなく、奉仕する側に(to serve, not to be served)」を基本理念に、活動が展開されている。

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松岡 博司

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