2006年06月02日

金融政策・市場の動き~ゼロ金利解除に向けほぼ終点

総合政策研究部 常務理事 チーフエコノミスト・経済研究部 兼任 矢嶋 康次

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  1. 5月後半になり無担保コールレートが上昇し始めている。順調に進んできた当座預金残高の削減は、ゼロ金利解除に向けほぼ終点に近づいていると言えそうだ。
  2. 足もと株安、円高が進み、先行きの米国経済動向に懸念が高まっているが、6月調査の短観(7月3日公表)で景気回復の持続が確認され、それを受けて7月13-14日の決定会合において、無担保コールレートを0.25%引き上げゼロ金利の解除を行うと予想する。
  3. 政府のデフレ脱却宣言のタイミングとしては、7月のサンクトペテルブルク・サミット(ロシア、7月15日~)が大きなポイントとなりそう。7月初めに示される骨太方針で現在の景気判断として「デフレ脱却」の判断が示される、または6月か7月かの月例報告でデフレの文言が月例から消えるというパターンが考えられる。デフレ脱却宣言+ゼロ金利解除で、政府・日銀一体の動きをサミットで報告するという筋書の現実味が出てきている。
  4. 当面、長期金利は少し広めのレンジでの横ばい推移を予想する。日銀のゼロ金利解除は金利上昇要因となるが、世界的な株軟調、円高など、金利低下要因も存在する。方向感がなかなか見えない中、米国金利が為替、株価に大きく反応する展開となるだろう。
  5. 当面のドル円レートは、大きな流れでは緩やかなドル安基調が続くと見る。なお、市場が米国経済の鈍化とともに利下げを織り込みにいき、ドル安が急進するというリスクが皆無ではない点には注意を要する。
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総合政策研究部   常務理事 チーフエコノミスト・経済研究部 兼任

矢嶋 康次 (やじま やすひで)

研究・専門分野
金融財政政策、日本経済 

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