2004年12月01日

適格退職年金の受け皿づくりを

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2002年4月に施行された確定給付企業年金法では、適格退職年金を10年以内に他の制度に移行するか、廃止することになった。その後の2年間で、適格退職年金の契約件数は7万4千件から5万9千件へと1万5千減った。
この間、受け皿として、確定給付企業年金が数百件、確定拠出企業年金がおよそ1千件、中小企業退職金共済(中退共)が3,400件増加した。つまり、減少した適格退職年金の内、約3分の2は、他の制度に移行せずに廃止されているのである。
適格退職年金は積立基準や受託者責任など、受給権の保護が不十分なため、廃止も仕方ない。しかし、折角積み立ててきた資産を個人に配分してしまうのは、退職金の財源を確保し、老後の所得を保障する上では疑問がある。
中小企業には中退共がある。中堅・大企業に対しても、運用リスクが低く、しかも社外に積立金を持つ、簡便な退職金制度を提供できないだろうか。企業年金連合会を通じた脱退一時金の年金化制度を、適格退職年金に適用することも一案であろう。廃止まであと7年半、適格退職年金の受け皿については、金融機関・行政にさらなる工夫が求められる。

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【適格退職年金の受け皿づくりを】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

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