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新聞報道などによれば、100を超える厚生年金基金の代行返上が認可されたようだ。その理由に、母体企業の運用リスク回避を挙げる基金も多い。しかし、現在、年金基金の代行部分の運用責任は、厚生年金本体の実績運用利回りを確保できれば果たせるはずである。
一方で、母体企業の企業会計上の利益は、退職給付債務の計算を通じて、資本市場変動の影響を受ける。この変動をできるだけ小さくしたいのが企業の本音であろう。さらに、低い割引率を用いて計算する退職給付債務は、国に返上する最低責任準備金よりも大きいため、代行返上で特別利益が発生するケースがあることも魅力的に見えるのであろう。
しかし、企業にとって重要なことは、本質を見極めて、企業価値を高める意思決定を行うことである。代行返上は、金融におけるデリバティブ取引と同様に、権利・義務の取引で、取引自体に価値を持つ。企業は、単に会計上の損益追求に走るだけでなく、この不可逆的な取引の「価値」を意識した行動が求められるのである。
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