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コラム
2002年05月17日
1.禁煙ほど簡単なものはない 「禁煙ほど簡単なものはない。私は何十回も禁煙した。」と言ったのは、トムソーヤの冒険などで有名な、米国の作家、マーク・トウェインだ。禁煙を試みたことがある方なら、思わずニヤリとさせられてしまうだろう。日本の景気を回復させるのも簡単だ。1990年代に米国経済はたった1回景気回復しただけだが、日本は2回も景気回復を経験した。バブル崩壊後日本経済は低迷が続いているとは言うものの、93年1月を谷とした景気回復、99年1月を谷とした回復がある。 政府は今日の月例経済報告で、景気の底入れを宣言した。「底割れ」ということも有り得るので、これで景気が回復するという保証はないが、米国経済の順調な拡大があれば輸出主導型で日本の景気も回復を続けるだろうというのが、一般的な見方だろう。バブル崩壊後日本経済はこれで3回目の景気回復を迎えることになる。そして今回はおそらく今年の1月か2月あたりが谷と認定されるだろう。前回の景気の山(ピーク)が暫定的だが2000年10月と認定されているので景気後退期は1年少々となり、ここ20年ほどの景気後退の中ではかなり短期間で終了したことになる。 2.問題は続けること エコノミストが景気が底を打って回復に向かうと言うことと、世の中の「景気回復」の受け止め方にはギャップがある。バブル崩壊後の景気回復は、期待されていたような「回復」とは程遠かったと言わざるを得ない。例えば失業率一つを取ってみても、これまでは景気が回復すれば失業率が低下したのに、バブル崩壊後は景気が悪くなると失業率が急速に上昇するのに景気回復期でもほとんど失業率が低下せず雇用環境が改善しないという状況が続いている。今回の景気回復も大方の期待を裏切るものになる恐れが大きいだろう。 急速な景気の悪化を止めるのには大変な力が必要だ。しかし、一時的であれば相当大規模な景気刺激策を実施することも可能である。そもそも、今回のように米国景気が回復するという外部環境の改善で景気が回復し始めるということもある。 問題は禁煙ではないが、いかに持続させるかということだ。前回の景気回復でも結局消費が増加しなかったために、景気回復の力も弱く、かつ自律的なものにもならなかった。消費をいかに回復させるか、それも一時的ではなく持続的に回復させるかということが問題だ。そういえば受験のときには、「継続は力、、」とかいう話もあった。景気底打ち宣言で「ホッと一息」と気を抜くわけにはいかない。 |
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客員研究員
櫨(はじ) 浩一 (はじ こういち)
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