2025年08月22日

消費者物価(全国25年7月)-コアCPIは8月に3%割れ、年末には2%程度まで鈍化する見通し

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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1.コアCPI上昇率は前月から0.2ポイント縮小

消費者物価指数の推移 総務省が8月22日に公表した消費者物価指数によると、25年7月の消費者物価(全国、生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年比3.1%(6月:同3.3%)となり、上昇率は前月から0.2ポイント縮小した。事前の市場予想(QUICK集計:3.0%、当社予想も3.0%)を上回る結果であった。

円高・原油安による燃料費低下を受けて、電気・都市ガス代が前年比でマイナスに転じたことがコアCPIを押し下げた。

生鮮食品及びエネルギーを除く総合(コアコアCPI)は前年比3.4%(6月:同3.4%)、総合は前年比3.1%(6月:同3.3%)となった。

コアCPIの内訳をみると、ガソリン(6月:前年比▲1.8%→7月:同▲1.3%)、灯油(6月:前年比4.8%→7月:同5.2%)の上昇率は前月とほぼ変わらなかったが、円高・原油安に伴う燃料費低下を受けて、電気代(6月:前年比5.5%→7月:同▲0.7%)、都市ガス代(6月:前年比2.8%→7月:同▲0.9%)が下落に転じたことから、エネルギー価格の上昇率は前年比▲0.3%(6月:同2.9%)と1年4ヵ月ぶりのマイナスとなった。

食料(生鮮食品を除く)は前年比8.3%(6月:同8.2%)と上昇率が前月から0.1ポイント拡大した。食料(生鮮食品を除く)は24年7月の前年比2.6%を底に12ヵ月連続で上昇率が高まったが、そのペースは若干緩やかとなっている。米類(6月:同100.2%→7月:同90.7%)は上昇率が若干鈍化したが、米の価格高騰が関連品目に波及しており、すし(弁当)B(前年比13.4%)、おにぎり(同18.9%)、無菌包装米飯(同31.0%)などは引き続き前年比二桁の高い伸びとなっている。

そのほか、鶏卵(前年比15.8%)、ジャム(同17.7%)、チョコレート(同51.0%)、調理カレー(同13.5%)、コーヒー豆(同44.4%)、コーヒー飲料(同44.4%)など果実ジュース(同18.1%)など幅広い品目で非常に高い伸びが続いている。
消費者物価(生鮮食品を除く総合)の要因分解 外食は前年比4.5%(6月:同4.5%)と上昇率は前月と変わらなかった。外食は24年7月から1年にわたって続いていた上昇率の拡大に歯止めがかかった。

サービスは前年比1.5%(6月:同1.5%)と上昇率は前月と変わらなかった。高速バス代(6月:前年比1.4%→7月:同1.7%)、高速自動車国道料金(6月:前年比0.0%→7月:同2.5%)の上昇率が高まったが、宿泊料(6月:前年比6.5%→7月:同6.0%)、外国パック旅行費(6月:前年比▲0.7%→7月:同▲1.8%)の伸び率が低下した。

コアCPI上昇率を寄与度分解すると、エネルギーが▲0.03%(6月:0.24%)、食料(除く生鮮食品・外食)が1.86%(6月:1.82%)、その他財が0.55%(6月:0.52%)、サービスが0.71%(6月:0.72%)であった。

2.物価上昇品目数が2ヵ月連続で減少

消費者物価(除く生鮮食品)の「上昇品目数(割合)-下落品目数(割合)」 消費者物価指数の調査対象522品目(生鮮食品を除く)を前年に比べて上昇している品目と下落している品目に分けてみると、7月の上昇品目数は414品目(6月は417品目)、下落品目数は74品目(6月は69品目)となり、上昇品目数が2ヵ月連続で前月から減少した。上昇品目数の割合は79.3%(6月は79.9%)、下落品目数の割合は14.2%(6月は13.2%)、「上昇品目割合」-「下落品目割合」は65.1%(6月は66.7%)であった。

3.コアCPI上昇率は25年末にかけて2%程度まで鈍化する見通し

食料(生鮮食品を除く)は24年7月の前年比2.6%を底に上昇率の拡大が続き、25年7月には同8.3%となった。上昇率は前回の上昇局面のピーク(23年8月の前年比9.2%)に近づいている。
高まる食料(除く生鮮食品)の価格転嫁率 川上段階(輸入物価)の食料品価格の上昇率は23年夏頃に比べれば低水準にとどまっているが、川下段階(消費者物価)の価格転嫁率は当時よりも高まっている。飲食料品の輸入物価は20年秋頃から22年末にかけて約60%の急上昇となった。この間、消費者物価の食料品(除く生鮮食品)の上昇率は10%弱にとどまっていた。

これに対し、23年初以降の飲食料品の輸入物価上昇率はピーク時でも15%程度と前回の上昇局面の4分の1程度にとどまっているが、消費者物価の食料品は15%程度と輸入物価とほぼ等しい上昇率となっている。人件費や物流費の価格転嫁に加え、物価高が継続したことで企業の値上げに対する抵抗感が薄れていることがこの背景にあると考えられる。

先行きについては、輸入物価が低下していることから、食料の上昇ペース加速には歯止めがかかるものの、当面は高止まりが続く可能性が高いだろう。

一方、電気・都市ガス代の支援策は25年3月使用分(CPIヘの反映は4月)でいったん終了したが、7~9月使用分(CPIヘの反映は8~10月)で再開されている。また、ガソリンは6/26から1リットル当たり10円の定額に加え、ガソリン価格(レギュラー)が175円を超える部分について10/10の補助を行う仕組みとなっている。エネルギー価格の上昇率は25年8月にはマイナス幅が拡大することが見込まれる。

また、与野党6党はガソリン税の暫定税率を年内に廃止することで合意し、8/1には野党7党が廃止時期を11月1日とする法案を衆議院に提出した。当研究所では、ガソリンの暫定税率が25年末までに廃止されることを想定している。

コアCPI上昇率は、電気・都市ガス代の支援策再開に伴うエネルギー価格の上昇率低下を主因として25年8月に9ヵ月ぶりに3%を割り込むことが見込まれる。9月には前年に電気・都市ガスの補助金政策が実施された裏が出る形でエネルギー価格が上昇に転じることからいったん3%台となるが、ガソリンの暫定税率廃止が見込まれる年末には、エネルギー価格の下落率拡大を主因として2%程度まで鈍化することが予想される。

本資料記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と完全性を保証するものではありません。
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(2025年08月22日「経済・金融フラッシュ」)

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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