2018年06月07日

オフィス市況は底堅く推移。Jリート市場は復調。-不動産クォータリー・レビュー2018年第1四半期 

基礎研REPORT(冊子版)6月号

金融研究部 准主任研究員   佐久間 誠

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日本経済は企業部門主導の経済成長が続いている。東京オフィス市場は、空室率が低水準で推移しているが、都心部Aクラスビルの賃料は高値圏で小幅な動きとなっている。2018年第1四半期は日本株が軟調に推移する中、J-REIT市場は堅調に推移した。

1―経済動向

2018年1-3月期の実質GDP成長率(1次速報)は前期比▲0.2%となった。2015年10-12月期以来のマイナス成長となったが、一時的な要因が大きく、景気の回復基調は維持されていると判断される。

企業の人手不足感は一層強まっており、建設技能労働者の需給も逼迫した状況が続いている。建築コストは、2016年後半から上昇し、足元では直近のピークを上回った[図表1]。
[図表1]建設工事原価指数(東京)

2―住宅市場の動向

3月の新設住宅着工戸数は69,616戸(前年比▲8.3%)となり、9ケ月連続で減少した。全体の4割超を占める貸家が10ケ月連続で減少するなど、落ち込みが続いている[図表2]。金融機関は、個人への貸家業向け新規貸出を抑制しており、2017年第4四半期は前年比▲22.4%となった。

2018年3月の首都圏のマンション新規発売戸数は3,617戸( 前年比+6.1%)となり、3ヶ月連続で増加している。東京都区部の契約率は、好不調の目安とされる70%を上回っているが、東京都下では70%を下回る状態が続いている。ただし、郊外でも駅近や再開発地域など利便性の高い地点での販売は好調だ。都心と郊外の2極化といった単純な構図ではなく、同一エリア内でも好不調が点在するまだら模様の市況となっている。今後は2019年10月に予定される消費税引き上げを前にした駆け込み需要などが注目される。
[図表2]新築住宅着工戸数(前年比変動幅)

3―不動産サブセクターの動向

[図表3]東京都心部Aクラスビルの空室率とオフィスレント・インデックス 1│オフィス
三幸エステート公表のオフィスレント・インデックスによると、2018年第1四半期の東京都心部Aクラスビルの成約賃料は35,013円( 前期比+1.2%)、空室率は1.8%( 前期比0.0%)となった[図表3]。オフィス需要は堅調で、空室率は低水準で推移しているが、2018年から2020年まで大規模ビルの供給が相次ぐことが重石となり、Aクラスビル賃料は伸び悩んでいる。但し、日経不動産マーケット情報によれば、2019年春までに竣工するビルはリーシングが順調に進捗している。今後は2次空室の動向が注目される。
[図表4]主要都市の大規模ビルの新規供給国債(2018年以降合計・2017年ストック比) ニッセイ基礎研究所では、今後の東京都心部Aクラスビルの賃料について2018年後半から2021年まで下落すると予測している(2017年4Q比▲18.5%)。一方、地方主要都市は、2020年~2021年までは賃料上昇が続き、2017年4Qからピークまでに福岡は+10.9%、仙台は+10.7%、大阪は+10.4%、札幌は+7.4%、名古屋は+3.6%の賃料上昇を予想している。東京では2018年から大量供給を控えているのに対して、地方主要都市では今後も新規供給の抑制が見込まれている。この新規供給の違いが、両者の賃料見通しの差を生み出している[図表4]。
2│賃貸マンション
東京23区のマンション賃料は緩やかに上昇している。2017年第4四半期はシングルタ イプが前年同期比+1.6%、コンパクトタイプが同+1.9%、ファミリータイプが同+3.1% となり全てのタイプで上昇した。また、東京の高級賃貸マンションについても、空室率低下に伴い賃料が上昇し、ファンドバブル期(2008年2Q)の水準に近づいている[図表5]。
[図表5]高級賃貸マンションの賃料と空室率
[図表6]ホテル客室稼働率の暦年月次ベース(全国)
3│商業施設・ホテル・物流施設
商業動態統計などによると、2018年第1四半期の小売販売額( 既存店)は百貨店が前年同期比+0.4%、スーパーが同+0.3%、コンビニエンスストアが同+0.6%となった。

全国61都市のホテル客室稼働率について過去1年の推移を見ると、1月は前年を下回ったものの、それ以外の月は前年を上回り、ホテルの客室稼働は好調を維持している[図表6]。
[図表7]訪日外国人客数 ただし、週刊ホテルレストランによると、ホテルの新規供給増加や民泊の台頭などを背景に稼働を重視するホテルが多く、ADR(平均客室単価)・RevPAR(販売可能室一室あたり収益)は低迷傾向にある。

2018年第1四半期の訪日外国人客数は前年同期比16.5%増加の約762万人となった[図表7]。延べ宿泊者数は前年同期比0.5%増加し、またこのうち外国人が同13.4%増加と、日本人の低迷(同▲1.8%)を補った。
[図表8]大型マルチテナント型物流施設の空室率 大型物流施設の2018年第1四半期の空室率は、首都圏で前期比2.0%上昇の6.9%、近畿圏で同1.6%上昇の21.2%となった[図表8]。今後もEC市場の拡大などにより大規模な先進的物流施設の需要は旺盛なものの、首都圏では今後2年間過去最大の供給が予定されており、空室率はさらに上昇する見込みである。

 

4―J -REIT(不動産投信)・ 不動産投資市場

2018年第1四半期の東証REIT指数は、2017年12月末比1.5%上昇し、TOPIXを全ての月でアウトパフォームした。セクター別では、住宅(▲0.4%)と商業・物流等(▲0.6%)が下落した一方で、オフィス(+4.0%)が上昇した[図表9]。需給面では、リテール向けJリート投信からの資金流出が継続する一方、地域金融機関による上場ETFへの投資や海外投資家による買いが市場を下支えした。

日経不動産マーケット情報によると、2018年第1四半期の不動産売買額はオフィスビルの大型取引に牽引され、約1.3兆円(前年比+0.5%)となり、6四半期連続で前年同期を上回った。

海外投資家による日本の不動産取得額は、2017年に大きく増加したが、2018年第1 四半期は、2016年の水準まで減少している。
[図表9]東証REIT指数(配当別、2017年12月末=100)
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金融研究部   准主任研究員

佐久間 誠 (さくま まこと)

研究・専門分野
不動産市場、金融マーケット

(2018年06月07日「基礎研REPORT(冊子版)」)

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