2018年02月27日

“QOD”高める在宅医療を!-幸せな最期を迎えるための「看取り図」 

社会研究部 主任研究員   土堤内 昭雄

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はじめに~多死社会を迎えた日本

日本の2017年の出生数は94万人、死亡数は134万人、人口の自然減少数は遂に40万人を突破し、日本は本格的な「少産多死」の人口減少社会を迎えている。平均寿命が延びる一方、健康寿命との差は広がり、高齢者の要介護期間は長くなっている。高齢者がどのような「死」を迎えるのかは、高齢期をどう生きるのかと表裏一体になり、長寿時代の「生き方」と「逝き方」を考えることが必要な時代だ。

特に終末期医療のあり方は、「QOD」(Quality of Death)を規定し、人生最期の「QOL」(Quality of Life)に大きな影響を与える。最期をどこで迎えるのか、どこまで延命治療を行うかなど、一人ひとりの死生観はさまざまである。2015年の日本人の死因は、第1位が悪性新生物(がん)、第2位が心疾患、第3位が肺炎だ。近年では高齢化による老衰死が増え、最期を住み慣れた自宅で迎える人や看取る人も少なくない。

長寿化の結果として、自然死ともいえる老衰で亡くなる高齢者が増加する背景には、本人や家族が延命治療を望まないこともある。老衰が増えることで病院死が減り、在宅死や福祉施設での施設死が増える傾向もみられる。高齢社会に必要な医療の役割変化は、急性期医療に対して慢性期医療の需要が大きくなっていることだ。今では高齢者の慢性疾患にきめ細かく対処するための「かかりつけ医」や在宅診療を担う地域医療機関の重要性が一層増している。

高齢者が在宅における老衰死を迎えるには、訪問医療と訪問看護の充実および医療と介護の切れ目ない連携が必要だ。終末期医療という人生の最終段階における医療には、緩和ケアなども含めた本来の生活の質(QOL)を維持・回復する「支える医療」が求められる。加齢により通院も難しくなる中で、高齢者が自宅で最期を迎えるためには在宅医療の充実が欠かせないのだ。

厚生労働省の2018年度の診療報酬と介護報酬の同時改定案では、在宅医療と介護の充実を図るため、「かかりつけ医」の診療報酬や高齢者の自立支援のリハビリサービス等の介護報酬が引き上げられる。在宅医療は全体としてみると、ふくらみ続ける社会保障費の抑制につながる可能性も高い。本稿では、病院と「かかりつけ医」の適切な役割分担のもと、多死社会の死の質(QOD)を高める在宅医療の充実など、幸せな最期を迎えるための「看取り図」について考えてみたい。

■目次

1―「少産多死」の人口減少社会
  1|減る出生数、増える死亡数
  2|増加する老衰死
  3|多い病院死
2―医療・介護の現状
  1|増大する高齢者医療
  2|拡大する老々介護
3―保健医療のパラダイムシフト
  1|「キュア」から「ケア」へ
  2|求められる在宅医療の充実
おわりに~幸せな最期を迎えるための「看取り図」
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社会研究部   主任研究員

土堤内 昭雄 (どてうち あきお)

研究・専門分野
少子高齢化・家族、市民社会・NPO、都市・地域計画

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