2017年10月24日

既存の国際秩序を揺るがす中国と身構える旧西側諸国~社会主義強国を目指す中国との共存共栄の道を探る

三尾 幸吉郎

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■要旨

1――既存の国際秩序を揺るがし始めた中国
中国が既存の国際秩序を揺るがし始めた。2015年12月にはアジアインフラ投資銀行(AIIB)を創設、2016年10月には国際通貨基金(IMF)の特別引き出権(SDR)の構成通貨にも加わった。そして、2017年10月の党大会では「現代化した社会主義強国」になると宣言、既存の国際秩序を築いてきた旧西側諸国は身構えることとなった。

2――世界経済で存在感を高める中国
中国のGDPは欧米先進国を上回るスピードで成長を続けており、世界経済はこれまでの米欧2大経済圏から中国を加えた3大経済圏へと変化していきそうだ。特に世界金融危機後の中国は米国とともに世界経済を牽引する色彩が強まっている。なお、中国のGDPはその正確性を疑う声もあるが、貿易面や自動車市場などGDP以外の統計を見ても中国の存在感は米国と並ぶまでに巨大化している。

3――旧西側諸国と中国の経済体制の相違点
中国は東西冷戦終結後、「社会主義統制経済」から「社会主義市場経済」へ移行し始めたため、旧西側諸国との「資本主義」か「社会主義」かの対立は残ったとしても「統制経済」か「市場経済」かの対立は解消に向かうはずだった。しかし実際上は、「資本主義」か「社会主義」かの対立よりも、「統制経済」か「市場経済」かの対立の方が鮮明になりつつある。

4――社会主義強国を目指す中国との共存共栄の道を探る
世界金融危機後、自らの経済運営に自信を深めた中国は統制を強めており、政治理念を異にする2つの経済システムが将来に渡って並立したままとなる可能性が高まってきた。政治理念の異なる旧西側諸国と中国は、人権問題や言論統制など様々局面で対立しがちだが、世界経済の持続的発展という共通の目標に向けて、相互にその存在価値を認め共存するとともに、相互に切磋琢磨して共栄する道を歩むことを期待している。
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