- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 暮らし >
- ライフデザイン >
- “アクセシビリティ”という「おもてなし」-さらなる「バリアフリー社会」の推進を!
日本では平成6年に「ハートビル法」により建築物等のバリアフリー化が、平成12年に「交通バリアフリー法」により交通施設等のバリアフリー化が義務付けられ、平成18年には両法を統合した「バリアフリー法」が施行されている。その結果、多くの公共交通施設や建築物のバリアフリー化が進展した。一方、今年2月に閣議決定された「ユニバーサルデザイン2020行動計画」では、政府が掲げる共生社会の推進や一億総活躍社会の実現に向けて、全国のバリアフリー水準の底上げが示されている。
6月には国土交通省が2020年東京五輪・パラリンピックを契機に「バリアフリー法及び関連施策の見直しの方向性」をまとめた。基本となる視点のひとつは、高齢者や障害者等の社会参画の拡大の推進を図ることだ。2020年東京大会のレガシーとして共生社会と一億総活躍社会の実現が目指されており、3年後に高齢先進国・日本で開催される五輪・パラリンピックが、世界の人々に対して新たな共生社会のモデルを提示することができるかどうかが問われている。
今年7月、日本航空が「木製車いすを全国の空港に展開」というプレスリリースを出した。JALは2018年度までに250台を全国の空港に配備する計画だ。木製車いすの場合、従来の金属製車いすでは通過できなかった保安検査場をスムーズに通れるそうだ。白樺の木を使ったぬくもりあるデザインで、乗り心地もよく、快適に空港内を移動できそうだ。また、パナソニックは衝突回避システムを搭載し、人ごみの中でも安全に走行できる「自動運転車いす」の実証実験を羽田空港で行っている。
アメリカでは砂浜に木道を設け、水際まで車いすで近づける海岸もある。東京五輪・パラリンピックを契機として、車いす利用者などが制約なく自由に空間を移動できる“アクセシビリティ”の向上は、2020年東京大会の重要な「おもてなし(Hospitality)」のひとつではないだろうか。2020年東京五輪・パラリンピックを契機に、ハード・ソフト両面の「バリアフリー化」が一体となり、障害者権利条約*の理念を具体化する「バリアフリー社会」の実現へ一歩でも近づくことを期待したい。
* 障害者の権利の実現のための措置等を定める条約で、2006年に国連総会で採択され、2014年に日本は批准した。
(参考)研究員の眼『パラリンピックと共生社会~「公平性」のための「ルール」づくり』(2016年9月13日)
このレポートの関連カテゴリ
土堤内 昭雄
研究・専門分野
(2017年09月19日「研究員の眼」)
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2024年04月19日
しぶといドル高圧力、一体いつまで続くのか?~マーケット・カルテ5月号 -
2024年04月19日
年金将来見通しの経済前提は、内閣府3シナリオにゼロ成長を追加-2024年夏に公表される将来見通しへの影響 -
2024年04月19日
パワーカップル世帯の動向-2023年で40万世帯、10年で2倍へ増加、子育て世帯が6割 -
2024年04月19日
消費者物価(全国24年3月)-コアCPIは24年度半ばまで2%台後半の伸びが続く見通し -
2024年04月19日
ふるさと納税のデフォルト使途-ふるさと納税の使途は誰が選択しているのか?
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年04月02日
News Release
-
2024年02月19日
News Release
-
2023年07月03日
News Release
【“アクセシビリティ”という「おもてなし」-さらなる「バリアフリー社会」の推進を!】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
“アクセシビリティ”という「おもてなし」-さらなる「バリアフリー社会」の推進を!のレポート Topへ