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- チャネル多様化の進展状況-保険ショップ・FPチャネルにおける加入行動の変化の状況
2017年07月03日
■要旨
足下の保険ショップの店舗数は、全体としては約2千店と概ね横ばいの状況にある。仮に、保険ショップ1店舗あたりの保険販売従事者が10人とすると、全国で2万人あまりと保険会社専属の営業職員数(約23万人)の1割程度に留まることになる。また、FP資格取得者数は100万人を超えているものの、日本FP協会の調査によればFP事務所・士業事務所の所属は7%に留まっていることから、保険販売に従事している独立系FPは多めに見積もっても10万人にも満たないものと推定される。このように、保険ショップや独立系FPは、規模の面では営業職員を大きく下回るなか、高い販売効率を盾に販売チャネルとしての存在感を増しているものと考えられる。実際に、直近の加入チャネルについて加入時期別にみると、「営業職員」のシェアは02~06年には4割にまで急減しており、2012年以降は4割を切って横ばいを続けている。一方で、「独立系FP」や「保険ショップ」はそれぞれ増加傾向にあり、2015年以降では「独立系FP」が10%、「保険ショップ」が7%と、「営業職員」に比べまだ少数派に過ぎないものの、徐々にその地位を高めつつある様がみてとれる。
これらのチャネルを通じた生命保険の加入行動にどのような変化がみられているか、直近の加入時期が2015年以降と2013~2014年の両者について対比してみたところ、保険ショップからの加入者では、加入検討のきっかけが「結婚」から「生活設計・家計の見直し」や「妊娠・出産・子の就学」へとシフトしており、検討時の情報源としても、「相談・見直しサイト」や「保険に関する書籍」など、チャネル以外の情報源も幅広く利用するようになっていた。一方で、独立系FPからの加入者では、「独立系FPの勧め」が大きく増加しており、検討時の情報源についても、加入チャネルである独立系FPに集中する傾向にある様が明らかとなった。このような変化の結果、両チャネルとも満足度は上昇しているものの、保険ショップがより確度の高い「満足」でも微増となっているのに対し、独立系FPではむしろ「満足」が微減していた。保険ショップが販売環境の変化への対応としてより顧客志向で臨むようになっており、利用者も十分満足して加入したうえ、口コミを通じて顧客層の拡大にも寄与しているのに対し、独立系FPで十分には満足されていない背景には、家計診断や生活設計の助言のなかで、保険の加入・見直しの提案へと拙速に進みすぎている可能性を示しているとも考えられる。
保険ショップとFPとでは、果たすべき役割や顧客に向き合う姿勢に違いはあろう。しかし、家計や生活設計全般に密接に関わる「生命保険」を取り扱う以上は、いずれのチャネルにおいても、顧客の想いに寄り添い、顧客のニーズを見極めた上で、具体的な提案につなげていくことが求められており、顧客にも冷静な判断を求める姿勢が肝要ではないだろうか。今のところ、チャネルの多様化という点では独立系FPの方がより存在感を示している状況にあるが、それぞれの販売姿勢の差異や、保険ショップにおいて口コミによる顧客層の拡がりがあるとすれば、これらのチャネルの利用状況には、数年のうちに大きな差がつく可能性もあるといえよう。
■目次
1――はじめに
2――チャネル多様化の進展状況
3――加入商品種類と会社類型
1|加入商品種類
2|加入先の生保会社
4――加入検討行動
1|加入検討のきっかけ
2|検討時に利用した情報源
5――結果の総括と考察
足下の保険ショップの店舗数は、全体としては約2千店と概ね横ばいの状況にある。仮に、保険ショップ1店舗あたりの保険販売従事者が10人とすると、全国で2万人あまりと保険会社専属の営業職員数(約23万人)の1割程度に留まることになる。また、FP資格取得者数は100万人を超えているものの、日本FP協会の調査によればFP事務所・士業事務所の所属は7%に留まっていることから、保険販売に従事している独立系FPは多めに見積もっても10万人にも満たないものと推定される。このように、保険ショップや独立系FPは、規模の面では営業職員を大きく下回るなか、高い販売効率を盾に販売チャネルとしての存在感を増しているものと考えられる。実際に、直近の加入チャネルについて加入時期別にみると、「営業職員」のシェアは02~06年には4割にまで急減しており、2012年以降は4割を切って横ばいを続けている。一方で、「独立系FP」や「保険ショップ」はそれぞれ増加傾向にあり、2015年以降では「独立系FP」が10%、「保険ショップ」が7%と、「営業職員」に比べまだ少数派に過ぎないものの、徐々にその地位を高めつつある様がみてとれる。
これらのチャネルを通じた生命保険の加入行動にどのような変化がみられているか、直近の加入時期が2015年以降と2013~2014年の両者について対比してみたところ、保険ショップからの加入者では、加入検討のきっかけが「結婚」から「生活設計・家計の見直し」や「妊娠・出産・子の就学」へとシフトしており、検討時の情報源としても、「相談・見直しサイト」や「保険に関する書籍」など、チャネル以外の情報源も幅広く利用するようになっていた。一方で、独立系FPからの加入者では、「独立系FPの勧め」が大きく増加しており、検討時の情報源についても、加入チャネルである独立系FPに集中する傾向にある様が明らかとなった。このような変化の結果、両チャネルとも満足度は上昇しているものの、保険ショップがより確度の高い「満足」でも微増となっているのに対し、独立系FPではむしろ「満足」が微減していた。保険ショップが販売環境の変化への対応としてより顧客志向で臨むようになっており、利用者も十分満足して加入したうえ、口コミを通じて顧客層の拡大にも寄与しているのに対し、独立系FPで十分には満足されていない背景には、家計診断や生活設計の助言のなかで、保険の加入・見直しの提案へと拙速に進みすぎている可能性を示しているとも考えられる。
保険ショップとFPとでは、果たすべき役割や顧客に向き合う姿勢に違いはあろう。しかし、家計や生活設計全般に密接に関わる「生命保険」を取り扱う以上は、いずれのチャネルにおいても、顧客の想いに寄り添い、顧客のニーズを見極めた上で、具体的な提案につなげていくことが求められており、顧客にも冷静な判断を求める姿勢が肝要ではないだろうか。今のところ、チャネルの多様化という点では独立系FPの方がより存在感を示している状況にあるが、それぞれの販売姿勢の差異や、保険ショップにおいて口コミによる顧客層の拡がりがあるとすれば、これらのチャネルの利用状況には、数年のうちに大きな差がつく可能性もあるといえよう。
■目次
1――はじめに
2――チャネル多様化の進展状況
3――加入商品種類と会社類型
1|加入商品種類
2|加入先の生保会社
4――加入検討行動
1|加入検討のきっかけ
2|検討時に利用した情報源
5――結果の総括と考察
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