2017年02月20日

「男性の育児休業」で変わる意識と働き方-100%取得推進の事例企業での調査を通じて

  松浦 民恵

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3働き方やマネジメントにも好影響
担当業務に関する育児休業期間中の対応については、「休業期間の前後に業務を振り分けた(業務の前倒し、後ろ倒し)」(61.3%)、「上司、同僚、部下等に業務の一部を引き継いだ」(55.4%)、「不明な点や急ぎの確認事項については、育児休業中でも連絡してもらうように、上司、同僚、部下に依頼した」(49.8%)が上位3位となっている(図表6)。

取得期間が短い中で、業務の前倒し・後ろ倒しや育児休業中でも連絡してもらう等、職場への影響がなるべく及ばない範囲での、自分自身による対応にとどめられている面が大きい。

ただし、過半数が業務の一部を引き継いでいることに加えて、「自分しか把握していなかった情報等を上司、同僚、部下等と共有した」という回答も42.9%みられており、情報の共有化という面で、休業取得が職場での働き方にプラスの影響を及ぼしている点は注目される。
図表6:育児休業取得に当たっての、担当業務に関する対応<複数回答>
育児休業取得によって、職場で自分自身が変化したと思うことを複数回答でたずねたところ、「部下や後輩の個人的な事情に対して、より配慮するようになった」(35.3%)、「早く帰宅できるように、業務効率を改善するようになった」(27.8%)が上位2位となっている(図表7)。また、「部下や後輩の育成の仕方について、より深く考えるようになった」(19.8%)、「会社に対する好感度が上がった」(17.6%)、「夜の会合の回数が減った」(17.0%)、「職場のなかでのコミュニケーションを円滑に行えるようになった」(16.6%)、「仕事に対する意欲が向上した」(16.4%)も2割前後みられている。なお、「特に変化したことはない」も32.2%にのぼっている。

前述のとおり休業取得を通じて家族関係に気づきや変化があったことが、個人的事情への配慮や、早く帰宅したい(早く帰宅させたい)という意識につながったのかもしれない。また、限られた期間ではあるものの休業のために担当業務を見直したことも、業務効率の改善にプラスになったと考えられる。さらに、育児経験や育児能力の向上が、「部下や後輩の育成の仕方についてより深く考える」契機となった可能性もある。

育児は多様なライフスタイルの一つであり、誰もが育児休業の取得を経験できるわけではない。当然のことながら、このような変化をもたらす有効な経験は、育児休業取得の他にもさまざま存在する。ただ、育児休業取得経験も、結果として、働き方やマネジメントに好影響を与える経験の一つになっているとはいえそうである。
図表7:育児休業取得によって、職場で自分自身が変化したと思うこと<複数回答>
4取得しやすさは周囲の反応次第
育児休業取得に対する上司、同僚、部下の反応についてたずねたところ、いずれも「好意的だった」が6割を超え、「おおむね好意的だった」も3割弱と、あわせて9割強が好意的な反応だったと回答している(図表8)。なお、この構成比は、上司、同僚、部下が「いなかった」と回答した者を除外して算出している。

また、「育児休業取得当時の職場は、育児休業を取得しやすい雰囲気だったか」についてたずねた結果をみても、「取得しやすい雰囲気だった」が48.0%と半数弱を占め、「おおむね取得しやすい雰囲気だった」(26.7%)と合わせると7割を超えている(図表9)。
図表8:育児休業取得に対する上司、同僚、部下の反応/図表9:育児休業取得に関する職場の雰囲気
それでは、男性従業員が育児休業を取得しやすい雰囲気の職場とは、どのような職場なのだろうか。詳しくみると、所属や、育児休業取得に対する上司、同僚、部下の反応によって、「取得しやすい計」(「取得しやすい雰囲気だった」「おおむね取得しやすい雰囲気だった」の計)の割合が異なっている(図表10)。所属別には、「本店」(87.8%)、「本部」(82.6%)、「支社」(70.4%)、「営業部」(52.0%)の順に「取得しやすい計」が低くなる傾向が顕著に読み取れる。上司、同僚、部下の反応が好意的だった職場では「取得しやすい計」がいずれも8割前後を占める一方で、上司、同僚、部下がとまどっていた職場では「取得しにくい計」が各70.8%、66.7%、46.8%にのぼる。

顧客対応を伴い、業績の数値目標が設定されている「営業部」で「取得しやすい計」が低くなっていることは、働き方が育児休業取得の阻害要因となっているという既存研究と整合的な結果である。また、休業取得に対して上司、同僚、部下の反応が好意的になれない背景にも、その職場での働き方が影響している可能性が高い。
図表10:育児休業を取得しやすい雰囲気の職場の特徴
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