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- 固くなった頭の“コリ”をほぐす-「冬至」と「絵本」からの学び
日没が早くなった11月のある日、にしのあきひろ『えんとつ町のプペル』展(SEZON ART GALLERY、11月3日~30日)に出かけた。それはクラウドファンディングで資金を集め、西野亮廣さんを中心に総勢35名が分業で制作し、4年半の歳月を費やして実現した絵本展だ。精緻に描かれた絵は幻想的で美しく、素敵なストーリーが展開されている。全文に英訳がついた物語は、読者一人ひとり受け取り方は異なるだろうが、私の心と頭は少し柔らかくなったような気がする。
昨年、2020年東京五輪・パラリンピックのエンブレムデザイン盗作疑惑が浮上、デザインコンペは白紙に戻った。再募集が行われた結果、今年4月には新たな公式エンブレムが決定された。その時、西野さんが自主提案した日本の伝統を感じさせる色使いの蝶のエンブレムが、素晴らしいデザインだとネット上で話題になり、私は初めてお笑いコンビ「キングコング」の西野亮廣さんの作品を知った。
西野さんの絵本に興味を持ち、『魔法のコンパス~道なき道の歩き方』(西野亮廣著、主婦と生活社、2016年8月)という本を読んだ。著者はとてもおもしろい発想の持ち主で、同書には固くなった頭を柔らかくするヒントがたくさん詰まっている。「おわりに」の『未来を変えることはできないけれど、過去を変えることはできる』という逆説的表現が目を引いた。また、『誰かが舗装してくれた道を歩いているような人生はワクワクしない』という主張からは、新たな可能性に挑戦する勇気をもらった。
これからの働き方については、『「好きなことで食っていけるほど人生は甘くない!」という時代から、「好きなことで生きていく」を追い求める時代になり、これからは「好きなことでしか生きていけない」という時代が間違いなくやってくる』とあった。年をとると頭が固くなり、間違った思い込みにとらわれていることも多い。長く生きてきて少々固くなった頭と心を柔らかくするには、若い人の柔軟な発想に学ぶことが必要だ。還暦を過ぎた今、長い人生をしなやかに生きるためには、肩のコリ以上に、頭の“コリ”をほぐすことが重要だと実感している。
(参考) 研究員の眼『「ザ」のこだわり~世界にひとつだけの人生』(2012年8月6日)
研究員の眼『“いいね!”求める時代~承認欲求と自己アイデンティティの不在』(2016年6月21日)
土堤内 昭雄
研究・専門分野
(2016年12月20日「研究員の眼」)
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