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- 中国経済:景気指標の総点検(2016年秋季号)~李克強指数は急回復も、総合判断としては小康状態
- 中国経済を供給面から点検すると、7-8月期の工業生産は前年同期比6.0%増と、4-6月期の同6.2%増をやや下回る水準で推移している。既に公表された統計を見る限り、第3四半期(7-9月期)の成長率は前四半期を小幅に下回る可能性がある。また、弱含みだった製造業PMIは8月に回復、非製造業PMIは引き続き堅調に推移している。
- 需要面を点検すると、小売売上高は7-8月期に前年同期比10.3%増と4-6月期と同水準の伸びで推移、価格要因を除いた実質では上回っている。固定資産投資は7-8月期に同5.5%増と、4-6月期の同7.3%増を大きく下回る水準に鈍化した。輸出は8月に前年同月比2.8%減とマイナス幅が大幅に縮小したものの、トレンドとしての改善を見込める状況には至っていない。
- その他の重要指標を点検すると、電力消費量が昨年の伸びを大幅に上回っていること、鉄道貨物輸送量に底打ち感がでてきたこと、工業生産者出荷価格がマイナス幅を縮めてきたことなどがプラス材料である。但し、電子商取引(EC)など新たな消費活動の動きを反映する道路貨物が昨年の伸びを下回ったこと、通貨供給量(M2)が政府見通しの「13%前後」を大きく下回って推移していることなどマイナス材料も少なくない。
- 景気指標を複数組み合わせた総合指標を点検すると、「李克強指数」は景気の急回復を示しているものの(下左図)、「景気評価点」は分岐点となる5点を挟んで一進一退を繰り返しており、工業生産、製造業PMI、非製造業PMIを説明変数とする線形モデルで計算した「GDP推計値」は4-6月期の前年同期比6.7%増とほぼ同水準で推移している(下右図)。現在の景気に関する総合判断としては、失速懸念も加速期待も小さい小康状態だと考えている。
1.供給面から点検すると
【工業生産】
【製造業PMI】
【非製造業PMI(商務活動指数)】
2.一方、需要面を点検すると
【小売売上高】
【固定資産投資】
【輸出】
3.その他の景気指標を点検すると
【電力消費量】
【貨物輸送量】
【工業生産者出荷価格】
【通貨供給量(M2)】
4.総合指標を点検すると
1|景気評価点
2|李克強指数とGDP推計値
3|総合判断
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