2016年09月14日

【東南アジア経済】ASEANの製造業生産(9月号)~中国向け輸出の下振れで生産鈍化

経済研究部 研究員   斉藤 誠

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ASEAN6ヵ国製造業生産指数の伸び率 16年7月のASEAN主要6カ国の製造業生産指数の伸び率(前年同月比)を見ると、ベトナムは中国からの生産拠点の移転など外資系企業の生産拡大の動きが続き、またフィリピンは干ばつの影響が和らぎ、統一選挙後の反動減も限定的で高い伸びを維持した。一方、中国向け輸出の鈍化を主因としてインドネシア1とマレーシアはやや低下し、タイとシンガポールはマイナスに転じた(図表1)。
タイ製造業生産指数(業種別)の伸び率 タイの16年7月の製造業生産指数は前年同月比5.1%減(前月:同1.4%増)と低下し、5ヵ月ぶりのマイナスとなった(図表2)。高水準の家計債務を背景に家計の購買力の回復が鈍いなか、輸出が下振れしたことが重石となった。

業種別に見ると、全21業種中6業種が前年同月比で増加、15業種が減少した。7月は自動車が同9.8%減(前月:同9.3%増)と前月までの新車効果の反動で大きく低下した。またエアコンとソーラーパネルの輸出増で好調が続いた電気機械・器具も同4.8%減(前月:同8.1%増)と大幅に低下した。このほか化学製品(同10.2%減)や食料・飲料(同2.1%減)、織物(同12.3%減)、アパレル(同24.6%減)、ゴム・プラスチック製品(同13.7%減)など幅広い品目で減少傾向が見られた。一方、ハードディスクを含むオフィス用機器は同3.7%増(前月:同9.3%減)と21ヵ月ぶりにプラスに転じた。

7月の出荷指数は同3.0%減(前月:同1.0%増)、在庫指数は同0.3%減(前月:同0.1%増)とそれぞれ低下した結果、出荷・在庫バランス(出荷前年比-在庫前年比)は▲2.6%ポイント(前月:+0.9%ポイント)とマイナスに転じた。また7月の設備稼働率は62.3%(前月:66.7%)と、生産が鈍化した影響で低下した。
マレーシア製造業生産指数(業種別)の伸び率 マレーシアの16年7月の鉱工業生産指数は前年同月比4.1%増と、前月の同5.2%から低下した。

業種別に見ると、全体の7割弱を占める製造業が同3.2%増(前月:同4.6%増)、電力が同7.2%増(前月:同8.7%増)と、それぞれ低下した。鉱業は同6.0%増(前月:同6.4%増)と小幅に低下したものの、2ヵ月連続で堅調な伸びを記録した。

製造業の内訳を見ると、全23業種中21業種が前年同月比で増加、2業種が減少した。主力のコンピュータ、電子・光学製品は同4.2%増(前月:同9.4%増)、石油製品は同3.6%増(前月:同5.1%増)、化学製品は同4.6%増(前月:同5.6%増)、ゴム・プラスチック製品(同4.3%増)と、それぞれ低下した。一方、食品は同2.0%増(前月:同9.5%減)と、4ヵ月ぶりのプラスに転じた(図表3)。
 
1 インドネシアの製造業生産の業種別指数は四半期毎に開示されるため、国別の記述は割愛する。

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経済研究部   研究員

斉藤 誠 (さいとう まこと)

研究・専門分野
アジア・新興国経済

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