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- 企業物価指数(2016年7月)~下落幅縮小も、下落基調は変わらず
1.国内企業物価は前年比▲3.9%と下落幅を縮小
為替・海外市況連動型(6月:前年比▲19.9%→7月:同▲17.8%)は、依然大幅な下落を続けているものの、原油価格や非鉄金属の持ち直しを反映して下落幅を縮小している。電力・都市ガス・水道(6月:前年比▲14.5%→7月:同▲12.0%)は、既往の原油安を反映した電力・都市ガスの燃料調整などから大幅な下落を続けているが、足もとの原油価格の持ち直しを主因に下げ幅は縮小傾向にある。鉄鋼・建材関連(6月:前年比▲3.7%→7月:同▲3.3%)は、鉄鋼やスクラップ類の持ち直しなどから、下げ幅を幾分縮小している。その他(6月:前年比0.7%→7月:同0.2%)は、農林水産物の鈍化を反映して上昇幅を幾分縮小している。
注1 1.機械類:はん用機器、生産用機器、業務用機器、電子部品・デバイス、電気機器、情報通信機器、輸送用機器
2.鉄鋼・建材関連:鉄鋼、金属製品、窯業・土石製品、製材・木製品、スクラップ類
3.素材(その他):化学製品、プラスチック製品、繊維製品、パルプ・紙・同製品
4.為替・海外市況連動型:石油・石炭製品、非鉄金属
5.その他:食料品・飲料・たばこ・飼料、その他工業製品、農林水産物、鉱産物
2.輸入物価は下落幅縮小も、円高による下押しが続く
輸入物価(円ベース)注2の前年比寄与度をみると、機械器具(6月:前年比▲4.0%→7月:同▲4.2%)、その他(6月:前年比▲2.1%→7月:同▲2.3%)のマイナス寄与が前月から拡大する一方で、石油・石炭・液化天然ガス(6月:前年比▲11.6%→7月:同▲10.6%)、金属・同製品(6月:前年比▲3.0%→7月:同▲2.0%)のマイナス寄与が縮小したため、輸入物価(円ベース)は前月から下落幅を縮小した。
足もとの原油価格(ドバイ、7月月中平均)は前年比▲24%と昨年8月(同▲53%)をピークに下落幅が緩やかに縮小しているものの、石油・石炭・液化天然ガス(円ベース)は2015年9月以降、前年比▲40%前後の大幅なマイナスを続けている。これは、既往の原油安の影響が遅れて液化天然ガスに波及していることに加え、足もとで円高進行による下押し圧力が拡大しているためと考えられる。もっとも、原油価格の持ち直しを反映して石油製品のマイナス寄与は縮小傾向にある。先行きは原油価格の上昇が石油製品、液化天然ガスの下落を抑制することから、石油・石炭・天然ガスの下落幅は引き続き緩やかに縮小することが見込まれる。
金属・同製品は、円高の進行を主因に円ベース(6月:前年比▲29.1%→7月:同▲20.9%)での下落幅は大幅なマイナスを続けているものの、鉄鉱石や非鉄金属鉱の持ち直しなどから、契約通貨ベース(6月:前年比▲18.1%→6月:同▲8.3%)での縮小幅は円ベースを上回っている。
注2 1.機械器具:はん用・生産用・業務用機器、電気・電子機器、輸送用機器
2.その他:繊維品、木材・同製品、その他産品・製品
3.最終財への下押し圧力が続く
4.先行きも円高が下押し要因に
輸入物価の変動は品目毎に異なるペースで国内企業物価に波及し、均してみると4ヵ月程度で連動性が最も高くなる。年初の原油安の影響が秋頃にかけガス代や電気代に波及するほか、円高進行による輸入物価の下落圧力が強まることから、前年比でみた国内企業物価は当面大幅なマイナスを続ける可能性が高い。6月のコアCPIは前年比▲0.5%となったが、今後川上から川下への価格転嫁が更に進むことから、年末頃までマイナス圏の推移が続くことが予想される。
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岡 圭佑
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(2016年08月10日「経済・金融フラッシュ」)
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