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医療の国際数量比較-日本の医療は世界一か?
保険研究部 主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員 篠原 拓也
1――はじめに
一般に、医療制度を評価する場合、クオリティー、コスト、アクセス、の3つの評価要素があると言われる。また、各要素を支える基盤となる医療資源は、医療スタッフ、医療施設、医療設備に分けて見ることができる。各国の比較分析には、これらの要素を念頭に置いておくことが有効であろう。
医療の話は、専門的で、難解なものとなりやすい。本稿は、各国の医療制度を詳細に分析することは、目的とはしない。医療の比較を通じて、日本の医療制度の特徴を、見ていくことを主眼に置く。
2――12種類の医療データで比較を実施
1 OECDのデータ(アドレスは、http://www.oecd.org/els/health-systems/health-data.htm)を、グラフ化して表示する。
2 CTはComputerized Tomography(コンピューター断層撮影法)、MRIはMagnetic Resonance Imaging(磁気共鳴映像法)の略。
3――医療制度の比較
まず、国内総生産(GDP)に対する医療費の割合を見てみる。2004年には、日本の医療費割合は低かったが、直近では主要国の中位程度まで増加している。アメリカは、医療費の割合が高い。これは、市場主義に基づく医療費の制御が、うまく機能していないことを表している。ドイツやフランスも医療費の割合が高く、その増大に悩まされてきた。逆に、イギリス、イタリア、スペインは、医療費割合が低い。イギリスは、伝統的に、医療に大きなコストをかけてこなかった。しかし、その結果、患者が専門医に受診するまでに数ヵ月間も待たされるといった、医療の待機問題を生んでいる。
3 2005年に始められた「アグネス(AGnES)事業」と呼ばれるもので、主に、慢性病を有し、通院が困難な高齢患者が対象。
4 ERAS(Enhanced Recovery After Surgery) という術後回復強化プログラムのことで、1990年代後半に北欧で始められた。
保険研究部 主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員
篠原 拓也 (しのはら たくや)
研究・専門分野
保険商品・計理、共済計理人・コンサルティング業務
03-3512-1823
- 【職歴】
1992年 日本生命保険相互会社入社
2014年 ニッセイ基礎研究所へ
【加入団体等】
・日本アクチュアリー会 正会員
公式SNSアカウント
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