2015年12月24日

【11月米個人所得・消費支出】堅調な財消費を受け、消費の伸びが前月から加速。貯蓄率も6ヵ月ぶりに低下

経済研究部 主任研究員   窪谷 浩

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1.結果の概要:消費は前月から加速、価格指数(総合指数)は前月比横這い

12月23日、米商務省の経済分析局(BEA)は11月の個人所得・消費支出統計を公表した。個人所得(名目値)は、前月比+0.3%(前月:+0.4%)となり、前月から伸びは鈍化したものの、市場予想(Bloomberg集計の中央値、以下同様)の+0.2%は上回った。一方、個人消費支出(名目値)は、前月比+0.3%(前月改定値:横這い)と前月から伸びが加速、市場予想に一致した(図表1)。価格変動の影響を除いた実質個人消費支出も、前月比+0.3%(前月改定値:横這い)と前月から加速、市場予想+0.3%に一致した(図表5)。貯蓄率1は5.5%(前月:5.6%)と前月から0.1%ポイント低下した。貯蓄率の低下は15年5月以来6ヵ月ぶりである。

価格指数は、総合指数が前月比横這い(前月:+0.1%)と前月から低下、市場予想(+0.1%)も下回った。また、変動の大きい食料品・エネルギーを除いたコア指数は、前月比+0.1%(前月:横這い)となり前月から上昇、市場予想(+0.1%)に一致した(図表6)。なお、前年同月比では、総合指数が+0.4%(前月:+0.2%)、コア指数が+1.3%(前月:+1.3%)となった(図表7)。
 
1 可処分所得に対する貯蓄(可処分所得-個人支出)の比率。

2.結果の評価:6ヵ月ぶりに貯蓄率は低下、物価上昇は抑制

(図表1)個人所得・消費支出、貯蓄率 個人消費支出(前月比)は、15年2月以降10ヵ月連続でプラスとなっており、所得の伸びを背景に消費は堅調に推移している。さらに11月は、貯蓄率が6ヵ月ぶりに低下するなど、所得対比でも消費の加速がみられた。

同日発表されたミシガン大学の消費者信頼感指数は7月以来の水準に回復しており、消費者センチメントの改善を背景に、12月のホリデーシーズンの売上も期待できそうだ。

一方、物価は依然として抑制された状況が持続している。総合指数、コア指数ともに前月比でほとんど伸びがみられないほか、前年同月比でもFRBが目標とする2%の水準を大きく割り込む状況が持続している。FRBは物価が目標水準に向けて中期的に上昇していく合理的な確信が得られたとして、12月に政策金利の引上げを開始した。もっとも、足元では原油価格が08年以来となる30ドル台で推移しており、物価は当面抑制された状況が持続するとみられる。

3.所得動向:賃金・給与の堅調な伸びが持続

個人所得の内訳をみると、利息・配当収入が前月比▲0.4%(前月:横這い)と15年3月以来のマイナスとなったものの、賃金・給与が+0.5%(前月:+0.6%)と前月から鈍化したものの、高い伸びを維持している。労働市場の回復を背景に賃金・給与の堅調な状況が持続している(図表2)。

一方、個人所得から社会保障支出や税負担などを除いた可処分所得(前月比)は、名目値が+0.3%(前月:+0.4%)、価格変動の影響を除いた実質ベースも+0.2%(前月改定値:+0.3%)と、いずれも前月からは伸びが鈍化したものの、15年4月以降8ヵ月連続のプラスを維持している(図表3)。
 
(図表2)名目個人所得(前月比寄与度)/(図表3)可処分所得(名目、実質)

4.消費動向:財消費が耐久財、非耐久財ともに好調

個人消費は、耐久財が+0.7%(前月:▲0.3%)、非耐久財も前月比+0.5%(前月:▲0.1%)と前月からプラスに転じ、財消費全体では+0.6%(前月▲0.2%)となった。一方、サービス消費も+0.2%(前月:+0.1%)と小幅ながら前月から伸びが加速した。

耐久財では、自動車・自動車部品が+1.2%(前月:▲2.4%)と前月からプラスに転じたほか、家具・家電が+0.4%(前月:+0.2%)と前月から伸びが加速した。非耐久財では、ガソリン・エネルギーが▲0.7%(前月▲1.9%)と4ヵ月連続でマイナスとなったものの、食料・飲料+0.8%(前月:▲0.2%)、衣料・靴+0.8%(前月:▲0.5%)などがプラスに転じた。一方、サービスでは娯楽サービスが▲1.2%(前月:+0.4%)と前月から大幅なマイナスに転じたものの、住宅・公共料金+0.1%(前月:▲0.4%)がプラスに転じたほか、外食・宿泊が+0.7%(前月:+0.4%)と前月から伸びが加速した。
 
(図表4)名目個人消費(前月比寄与度)/(図表5)個人消費支出(名目、実質)

5.価格指数:エネルギー価格の下落が持続

価格指数(前月比)の内訳をみると、エネルギー価格指数が▲1.4%(前月:+0.2%)と再びマイナスに転じた(図表6)。一方、食料品価格指数は▲0.2%(前月:+0.2%)と、こちらも前月からマイナスに転じた。

最後に前年同月比では、エネルギー価格指数が▲15.8%(前月:▲18.4%)と、マイナス幅は縮小したものの2桁の下落が持続している(図表7)。これで2桁の下落は14年12月以降12ヵ月連続となった。一方、食料品価格指数は、+0.3%(前月:+0.8%)と、こちらはプラスを維持したものの、前月から低下した。
(図表6)PCE価格指数(前月比)/(図表7)PCE価格指数(前年同月比)

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経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

研究・専門分野
米国経済

(2015年12月24日「経済・金融フラッシュ」)

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