2012年10月24日

わが国の高齢化率はもう27.9%?-小規模自治体は介護サービス提供体制を充足できるのか

  進藤 由美

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■見出し

1――高齢社会と介護職員の不足感
2――自治体ごとにみた高齢化率は27.9%
3――小規模自治体で著しい高齢化率
4――平均年齢や年齢中位数も高い小規模自治体
5――介護保険の保険者である自治体は、サービス提供に必要な人員を確保できるのか

■introduction

内閣府が発表した「平成24年版高齢社会白書」によると、2011年10日現在の高齢化率(65歳以上人口割合)は23.3%に達し、まさに「4人に1人が高齢者」時代が目前に迫っている。今後、団塊の世代の高齢化が進むにつれ、介護を要する高齢者の数が大幅に増加すると予想されることや、多様な価値観・背景を持つ世代の高齢化、高齢者の「生活の質(QOL)」の向上といった様々な観点から、介護保険サービスの「数」の整備と「質」の向上が求められており、国や地方自治体も様々な施策を打ち出している。
そもそも、高齢社会への対応として「ゴールドプラン(1989年)」「新ゴールドプラン(1994年)」等を通じ、国をあげて高齢者福祉施設の建設や介護職員の増員に力を注いできた。その後、2000年に介護保険が導入されたことをきっかけに、市場を民間に開放。以後、社会福祉法人や医療法人、社会福祉協議会といった、「措置時代」の福祉を担ってきた法人だけでなく、一般企業や特定非営利活動法人(NPO)が介護サービス事業に参入し、その結果介護保険サービス事業者数は毎年増加をしている。こう見ると、少なくとも介護保険サービスの「量」においては順調に整備されているように見受けられる。
しかし、実際には介護現場における職員の不足感は、現在でも非常に高い。介護労働安定センターが発表した2011年の実態調査では、「従業員が不足している」と感じている事業者は全体の53.1%に達し、前年度調査よりも2.8ポイント上昇していた。特に訪問介護員の不足感を訴える事業者は70.3%に達し、次いで介護職員(44.9%)、看護職員(39.7%)となっている。
なぜ介護現場で働く職員の不足感は消えないのか。上述したように、介護保険制度の導入後、新規事業者が続々と増えているが、そのスピードに職員の確保が追いついていないという面があるからであろう。また、介護現場は離職率の高いことが指摘されており、新規職員を採用しても、そのそばから別の職員が辞めていくという状況も散見されるので、いつまで経っても不足感がぬぐえないという面もあるであろう。
介護職員の確保のために、国は処遇改善交付金制度やキャリア段位制度の導入といった取り組みを通じ、介護職の魅力を高めつつ数を伸ばすことを図ってきた。確かに、このような取り組みや介護職員の質の向上研修等は非常に重要ではあるが、残念ながら高齢化や人口減少のスピードについていけていないように思われる。特に、自治体は介護保険の保険者であり、公平かつ効率的なサービスの提供のための土台作りが責務であるため、地域住民が必要とする介護保険サービスを提供できるだけの介護職員を確保することが求められている。
そこで本稿では平成22年の国勢調査をもとに、自治体規模別の高齢化の実態や平均年齢、年齢中位数を紹介する中で、介護職員確保の可能性について考察したい。




進藤 由美

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