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■目次
1--------はじめに
2--------マイクロインシュアランスの概念
3--------ブラジルにおけるマイクロインシュアランス普及に向けた取組
4--------おわりに
■introduction
従来、新興国における低所得者層(BOP層(世界の所得ピラミッドの基底を成すという意味からbase of pyramidまたはbottom of pyramidと呼ばれる))は専ら援助の対象と捉えられており、彼らを対象とした企業の活動は、慈善事業として認識されてきた。しかし、1983年に創設されたバングラデシュのグラミン銀行が、低所得者向けに小口融資を行うマイクロクレジット事業において安定的に収益を挙げることに成功したこと等を受け、2000年頃から低所得者層を対象としたビジネスでも成り立ちうるという考えが現れてきた。世界のBOP層人口は40億~50億人に上るとも言われており、一人当りの購買力は大きくないものの、巨大な潜在的マーケットとして注目する企業が増えている。
保険会社においても低所得者層を有望なマーケットとする認識が広まっており、低所得者向け商品としてのマイクロインシュアランスへの注目が高まっている。低所得者は、収入が少なく、貯蓄を持たないため、家族の病気や死、あるいは災害等に見舞われた場合、高金利の貸付を受けるか、生活に欠かせない資産、例えば家畜を売却すること等で対処せざるを得ず、貧困から抜け出すのが一層難しい状況に陥ってしまう。低所得者でもこうしたリスクへ備えられるよう登場したのがマイクロインシュアランスである。
上記の通り、マイクロインシュアランス事業に収益機会を見出そうとする保険会社が増えているのに加え、新興国等でマイクロインシュアランスを貧困削減の有効な手段であるとの考えが広まっていることも影響し、マーケットは年々拡大している。地域的にも、元々、インドやバングラデシュ等、南アジアを中心に発展してきたが、東アジア、アフリカ、南米と広がりを見せている。依然として保険料ベースで約400億ドルに上る未開拓マーケットがあるとも見られており、今後の更なる成長が見込まれている。
本稿ではマイクロインシュアランスについて簡単に説明した後、近年、マイクロインシュアランスへの注目が高まっている南米ブラジルにおける、保険会社及び政府の双方による普及促進に向けた取組事例を紹介する。
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高瀬 俊史
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