2010年06月25日

ジェロントロジーコンソーシアム

赤松 秀樹

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先日、東京大学高齢社会総合研究機構の、ジェロントロジーコンソーシアム参加メンバーによる合宿が開かれた。世界に例のない急速な日本の高齢化の下で、企業としてのビジネスチャンスをいち早く見つけ、戦略を構築したいとの思いを持った企業が集まり、様々な分野の研究者から、高齢化にまつわる最先端の研究成果の講義を聴いたり、テーマ別に編成されたチーム毎に、2030年のあるべき日本社会の姿を描き出し、現状からそこまで進む道筋について議論を行うといったことを続けてきた。
ニッセイ基礎研究所は、コンソーシアムの発足以来その事務局の中心メンバーとしてお世話をさせて頂いてきている。
2年目に入った今年は、参加企業も更に増えて38社に上り、ジェロントロジーに対する社会の認知度の向上を感じさせる。今回の合宿には東京大学の関係者を含め延べ約120人が参加し、1日半に亘って極めて熱のこもった議論が行われた。また、夕刻から始まった懇親会は、さながら異業種交流会の様相を呈し夜が更けるまで続けられた。
筆者は「就労と生きがい」を担当するチームに加わり、定年を迎えた元気な高齢者が、生き生きと活躍し、社会にも貢献出来るようにするにはどのような仕組みが必要か、とか、更に高齢になって周囲からの助けを必要とするようになった高齢者が、社会との繋がりを保ちながら、住み慣れた地域で最後まで安全・快適に過ごしてゆけるようにするにはどうすればいいか、といったテーマについて様々な年齢・業種・経歴の人達と話し合った。
自分自身団塊世代の一人であり、第二の人生のスタートラインが見えている時期だけに、極めて刺激的であり、得るものが多かったが、同時に、一人一人の価値観が極めて多様化している社会において、公・共・私それぞれの果たすべき役割を確認し、具体的に動き出す為の仕掛けを作ってゆくプロセスの困難さに呆然とする思いでもあった。とはいえ、2030年には75歳以上の後期高齢者の数が、今より1,000万人増加して2,300万人に達し、認知症を煩う人の数も350万人に上ると予想されている。まさに待ったなしの時代であり、様々な事業分野・学問分野の人達が、知恵を出し合い協力し合って一つ一つ着実に進めてゆかなくてはならない。
コンソーシアムでは、3月に中間報告「ロードマップ作成に向けての基本構想」を取りまとめたが、引き続き10月に予定されている「2030年超高齢社会に向けた産業界のロードマップ」作成に向けて、精力的な議論を続けてゆくことになる。
ニッセイグループでは、東京大学のこの取り組み、更には千葉県柏市や福井県における地域実証研究の成果を、より実りの多いものにすべく、引き続き積極的に支援を行ってゆきたい。

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赤松 秀樹

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