コラム
2009年11月30日

事業仕分けを恒久化せよ

経済研究部 専務理事   櫨(はじ) 浩一

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1.国民の関心を集めた事業仕分け

正直なところ筆者は最初今回の事業仕分けがどの程度の成果をあげられるかについては懐疑的だった。しかし、終わってみればやはりこれはやって良かったと考える。これまで密室で行われていた予算査定の作業が衆人の面前で行われたことで、「そんなことをしていたのか!」という事業が幾つも出てきた。毎年予算の査定は行われている訳だが、国民の視点で改めて見ると、疑問のある事業が続出した。
   事業仕分けによって捻出できた財源は1兆7千億円で、来年度予算の概算要求を切り込んで3兆円の財源をひねり出すという目標には達しなかったと報道されている。しかし、自分達が納めた税金でどんな事業が行われているのだろうかという関心を集めたことは、大きな成果だったと言えるだろう。

2.見えた課題

一方で、様々な課題があることも見えた。一つの事業を一時間で議論して結論を出すというのは、やはり無理もある。説明者の能力次第で仕分けの結果が大きく左右されるということは、国民にとって本当に良いこととは思えない。実際、説明があまり上手くなかったので重要な事業とは認められなかったものもあるように見えた。事業を行うのは国民のためであり、説明に出てきた官僚の能力によらず、本当に必要な事業を見分けていくということも求められる。元宇宙飛行士の毛利さんが日本科学未来館の館長として説明に出てこられていたように、事業の説明者は予算の説明がうまいからその仕事をしている訳ではない。事業仕分では、説明者の能力よりも仕分けをする側の眼力、見識がより重く問われる。
   もう一つの課題は、今回の事業仕分けは予算編成という観点だけから行われたということだ。お金は掛かっていなくても、時代とともに必要性が失われたり、怪しくなったり、むしろマイナスとなったりしている規制や制度、組織なども少なくない。こうした事業、制度の見直しも必要だ。

3.求められるねばり強い努力

今回の事業仕分けは、性急に結論を出しすぎたものもあったように見えるが、国民の支持もあってかなりの成果があった。しかし、これが一過性のお祭り騒ぎに終わってしまってはならない。今回俎上に載せられたのは、わずか450事業ほどに過ぎない。予算の観点からだけでもまだ多くの事業のチェックが必要であり、規制や制度、組織なども加えれば、それこそ仕分け作業が必要なものは数え切れない。時の経過とともに時代に合わない制度は生まれてくるので、無駄な事業がまた増えて行ってしまう。求められているのは、粘り強く不断に無駄な事業と必要な事業を選別し続けることだ。
   補正予算の事業停止や来年度予算の切り込みという短期的な仕事は一段落した。行政刷新会議は、じっくりと政府が行っている全ての事業について仕分け作業を行うべきだ。

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経済研究部   専務理事

櫨(はじ) 浩一 (はじ こういち)

研究・専門分野
マクロ経済・経済政策

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