コラム
2009年10月05日

オリンピックはどこへ行く(その3)

社会研究部 主任研究員   土堤内 昭雄

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2016年の夏季オリンピック開催都市がブラジルのリオデジャネイロに決まった。10月2日、デンマーク・コペンハーゲンにおける国際オリンピック委員会(IOC)総会の投票では、1回目にシカゴ、2回目に東京が落選し、3回目のマドリードとの決選投票の結果、66対32でリオデジャネイロが圧勝した。

2008年6月のIOC第1次選考では、競技会場計画や交通インフラ、宿泊施設状況、大会運営ノウハウ、財政力、治安・安全、環境対策など主に技術面から評価が行われ、東京は最も高い評価を得ていた。一方、4都市が横並び状態と言われるなかで最終選考に当たっては、技術的な側面というよりは各都市がオリンピックを開催する意義を各国IOC委員がどのように判断するのかが焦点となっていた。

第1次選考を通過した4つの候補都市はいずれも技術的にはIOCが求める最低基準の必要条件を満たしており、招致の十分条件はその都市で開催する意義が決め手になる。オリンピックの象徴である五輪が表わす五大陸のひとつである南米のリオデジャネイロで初めてオリンピックを開催することは、誰もが納得しうる分かり易い意義であったろう。

しかし、それは東京が主張したカーボンマイナス・オリンピックというコンセプトが劣っていたとか施設計画の水準が低かったということでは全くない。また、IOC総会で鳩山首相が先の国連演説で述べた「2020年に90年比25%の温室効果ガスの削減」を改めて表明したが、その実現のためには2016年のオリンピック招致の成否に関わらず、土地利用や交通体系、建物のエネルギー消費、そしてわれわれ自身のライフスタイルの見直し等を行い、東京という巨大都市の低炭素化を促進しなくてはならないのである。

今回、結果として招致が実現しなかった大きな要因は、国内の開催支持率の低さや開催を求める情熱の不足、それをIOC委員へ伝える技術の未熟さなどであろう。その点では招致活動の方法における課題や150億円と公表されている招致活動費の使途をしっかり検証し、今後もそれを十分活かさねばならない。

今回のオリンピック招致失敗の経験から学ぶことは、国際社会へのロビーイングや国民支持の拡大を地道に続けることがいかに重要かということだろう。温室効果ガスの2020年の25%削減も、環境省など政府機関や企業の取組だけではなく、国民一人ひとりが当事者意識を持ってこの目標に向うムーブメントの醸成が不可欠である。今回の貴重な経験は、2020年の温室効果ガスを25%削減するという新たなカーボンマイナス・オリンピックで必ず活かさなくてはならないのである。国民不在ではこの高いハードルは決して乗り越えることはできない。

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社会研究部   主任研究員

土堤内 昭雄 (どてうち あきお)

研究・専門分野
少子高齢化・家族、市民社会・NPO、都市・地域計画

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