2009年05月11日

米4月雇用者数は53.9万人減、失業率は8.9%に急上昇

土肥原 晋

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■見出し

・4月の前月比雇用者数は、53.9万人減と昨年10月以来の減少幅に縮小
・4月賃金上昇率は前年比3.2%
・急速な雇用悪化が個人消費を抑制へ

■introduction

米労働省発表の4月雇用統計では、非農業事業部門の雇用者が前月比▲53.9万人と、前月(▲69.9万人)、市場予想(▲60万人)を下回り、昨年10月(▲38.0万人)以来の減少幅に縮小した。また、過去2ヵ月に遡っての改定は、2月分が▲65.1万人→▲68.1万人へ、3月分が▲66.3万人→▲69.9万人へと合計▲6.6万人の下方修正となった。なお、1月の減少数は▲74.1万人と1949年10月(▲83.4万人)以来の記録であり、最近では最大の減少幅となっている。また、昨年9月金融危機以降の月平均雇用者減は▲58.0万人で累計では▲464万人、今回リセッション入り後、昨年1月以降の雇用減は▲574万人に達した (図表1)。
4月の部門別の動きでは、サービス部門が前月比▲26.9万人と5ヵ月続いた30万人超の減少幅から縮小、昨年10月(▲19.6万人)以来の減少幅となった。なお、金融危機以前は、サービス部門の減少幅が大幅に膨らむことは珍しく、20万人を超える減少は1983年8月(▲41.2万人)以来25年ぶりのこととなる。
製造業では前月比▲14.9万人となり、昨年12月(▲12.1万人)以来の減少幅に縮小した。また、1月分が▲26.2万人と最近の最大の減少幅となり、1975年2月(▲34.0万人)以来34年ぶりの減少幅を記録している。なお、建設業では同▲11.0万人と高水準の減少が続いており、22ヵ月連続の減少となっている。
製造業の雇用を業種別に見ると、金属加工が同▲2.9万人、自動車が同▲2.9万人、機械が同▲2.2万人、等の減少が大きかった。民間サービス業では、人材派遣(Employment services)の減少(同▲6.9万人)が大きく、小売業(同▲4.7万人)、レジャー関連(同▲4.4万人)、卸売業(同▲4.1万人)、金融(同▲4.0万人)、運輸・倉庫(同▲3.8万人)等の減少も目立った。なお、増加したのはヘルスケア(同1.7万人増)など一部の業種に限られた。一方、サービス部門に含まれる政府は7.2万人増と4月の最大の増加項目となったが、これは2010年の国勢調査に向け臨時雇用を開始したことによる (末尾図表4参照)。
4月の失業率は8.9%と前月(8.5%)を大きく上回り、一段の上昇を見せたが、市場予想とは一致した。失業率は、金融危機時(昨年9月)には6.2%だったが、その後の7ヵ月で2.7%ポイント上昇、月平均0.4%ポイントの急速な上昇となっている。なお、現在の水準は1983年9月(9.2%)以来、25年半ぶりの高水準となる。

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