2007年11月21日

政府税制調査会答申(11月20日)~消費税を社会保障財源に充てる方針が明記

  篠原 哲

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■見出し

・政府税調答申では、消費税を社会保障財源に充てる方針が明記
・答申の概要
・注目される消費税率引き上げの時期

■introduction

政府税制調査会は、11月20日に「抜本的な税制改革に向けた基本的な考え方」と題して、2008年度税制改正の答申を取りまとめた。政府税制調査会は、税制の基本方針について調査、審議する内閣総理大臣の諮問機関であり、毎年この時期に、税制改革に必要な基本方針を「年度答申」として提出している。
今回の答申は、総論の冒頭部分で、今後の抜本的な税制改革に向けた方向性を提示しており、年末の2008年度税制改革に向けてではなく、むしろ、より中長期的な観点からの税制改革の方向性を示すことに重きを置いた内容となっている。
答申では、消費税を「社会保障財源の中核とする」と位置づけており、将来的には、消費税の引き上げが避けられないという見解が明示されている。答申で消費税の引き上げが明示されたのは3年ぶりとなる。
今後の税制のあり方を考えるうえで、特に大きな課題となってくるものは、香西泰税制調査会会長が20日の記者会見で「社会保障制度の持続が危うい情勢にある」と述べているように、高齢化が進展するなかで、社会保障給付財源をいかに確保していくかという点になるだろう。
少子高齢化が進展し、現役世代が相対的に減少するなかで、増加を続ける社会保障給付の財源を、所得税等の直接税の増税や、社会保険料の引き上げで確保していくとしたら、現役世代一人当たりに対する負担の規模は、従来よりも大きなものとならざるを得ない。世代間の公平性に配慮し、安定的に社会保障給付を含む財政支出の財源を確保していくための手段としては、やはり、国民全員が「広く薄く」負担する、消費税の増税が中心となってくると考えられよう。
現在、基礎年金の国庫負担は、3分の1が税で賄われているが、2009年度からその割合が2分の1に引き上げられることが、すでに決定しており、その際に必要となる2.5兆円の財源には、消費税の引き上げによる税財源が充てられる可能性も指摘されている。
ちなみに、今回の答申では、税率の引き上げ幅や、具体的な時期などは明示されていない。消費税に限ったことではないが、そもそも税制改革に関する議論は、国民の負担増に繫がりかねない問題でもあり、その時々の政治的な状況等の影響を受けやすい側面がある。実際に、消費税に関しては、7月の参議院選挙まで、議論自体が事実上凍結されてきたのが現状である。
しかし、政府税調が社会保障の財源として消費税の増税分を充てていく方針を示したことで、今後は、消費税の引き上げに向けた議論が本格化してくる可能性が高い。消費税の引き上げの時期については、景気動向や歳出削減の進展の度合いなども踏まえて判断する必要があるが、少子高齢化が進展するなかで、消費税をどのように位置づけていくのか、また逆進性に代表される、引き上げの際の課題をどのように解決していくか、という論点整理については、今後、議論が進展していくことが期待される。

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