2005年08月25日

人口減少時代のライフデザイン -「個」を活かす社会へ-

社会研究部 主任研究員   土堤内 昭雄

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1.
日本はやがて本格的な人口減少時代を迎える。そのような時代に日本が持続的に活力ある社会を築いていくためには、最大の社会資源である「ひと」をいかに活かすかが問われる。一人ひとりの能力を最大限に発揮する社会を作り上げるために、「個」を活かす規制改革を行い、「年齢」と「性別」に制約されない社会の実現が求められる。
2.
最近、「2007年問題」という言葉をよく耳にする。これは団塊世代が2007年から満60歳の定年を迎え始め、大量に退職するからだ。団塊世代は概して元気で、就労意欲も高い。しかし、単に雇用の延長を望むというより、新規に事業を始めたり地域活動に参加したりと新たな社会との関係性を築こうとしている。このように団塊世代をはじめ定年退職した人たちが、その後も年齢に制約されることなく活躍できる社会づくりが重要だ。
3.
日本が活力を維持するためには、退職者とともに若者が活躍できる社会環境が不可欠だ。最近、若年層の失業率が高止まりし、正規雇用につけないフリーターやニートと呼ばれる無業者が増加している。このような若者の雇用環境の不安定化は、若者の結婚難にも繋がり、それが少子化に拍車をかけている。若者の就労・自立を支援し、コミュニケーション能力の向上を図り、柔軟で多様なライフコースを設計できるような社会づくりを行う必要がある。
4. さらに、人口の半分を占める女性の能力を活かすことが重要だ。雇用における女性の位置づけは徐々に大きくなり、「男は仕事、女は家事・育児」という性別役割分業は行き詰っている。これまでの仕事と子育ての両立支援は、女性が仕事も家事・育児も負担する新・性別役割分業をもたらしている。職業生活と家庭生活の調和は、性別に関わらず重要なことで、男女がともに働き方を見直し、ワーク・ライフ・バランスのとれた社会が望まれる。自分らしく生きるためには、年金・医療・介護等の社会保障制度の受益と負担が個人単位となるように転換を図り、男女共同参画社会を目指す必要がある。
5. このようにだれもが「年齢」と「性別」に制約されずに、一人ひとりが輝く社会を実現することが重要だ。それが人口減少時代に求められる「個」を活かすライフデザインであろう。

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社会研究部   主任研究員

土堤内 昭雄 (どてうち あきお)

研究・専門分野
少子高齢化・家族、市民社会・NPO、都市・地域計画

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