2004年12月25日

米国の生命共済-フラターナル組合-の概要

保険研究部 主任研究員   松岡 博司

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1.
フラターナル組合は、米国において、生命保険会社(株式会社、相互会社)とともに生保事業の一角を担っている特殊な生保事業体である。保険の提供とともに友愛的・社会的活動を行うという、特殊な経営形態をとっている。
2.
130 に及ぶフラターナル組合が存在するが、上位層への集中は顕著で、総資産では上位25組合で95%、上位5組合で84%のシェアを占める。
3.
フラターナル組合の監督は一般の生保会社に対すると同様、各州の保険法にもとづき各州の保険監督当局が行っている。フラターナル組合は連邦税、州税を免除される。
4.
フラターナル組合は、ロッジシステムという独自の運営システムに基づき機能し、代議制による意思決定機構を持つ。
5.
フラターナル組合の多くは、1890年~1910年の間に設立されたものである。フラターナル組合には、宗教・女性・職域といった販売対象を持つもの、販売対象を限定せず、幅広く加入者を募るもの、等さまざまなものがある。
6.
保険事業の範囲は生命保険、医療保険分野に限られる。契約内容は一般の生保会社とほぼ同様であるが、フラターナル組合独自の契約条項として、オープン契約条項、ソルベンシー維持条項がある。
7.
保険販売も一般の生保会社と同様の体制で行われている。近年では顧客ニーズの多様化に対応して、他グループの投資信託の販売なども行われている。
8.
フラターナル組合は保険事業以外に、組合員や地域コミュニティを対象に友愛的・社会的活動を行うことをも目的としており、特色のある取り組みを行っている。
9.
フラターナル組合は1800年代の終わりには、一般の生保会社を凌駕するまでに成長していた。しかし1900年代に入って失速し、今日では2%弱のシェアを有するにすぎない存在となっている。
10.
当初の成長は賦課式による保険料設定によるところが大きかった。しかし、これは保険数理的には無理のある方式であったため、やがてほころびが生じ、フラターナル組合は失速することになった。
11.
困難な時期をフラターナル組合は組合員の連帯に支えられ乗り越えた。一方、フラターナル組合類似の賦課式保険を営利目的で、モラルにかける売り方で販売した賦課式保険会社は多くが破綻した。
12.
フラターナル組合の動向を注視することは、わが国における共済のあり方を考える上で有効であろう。

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保険研究部   主任研究員

松岡 博司 (まつおか ひろし)

研究・専門分野
生保経営・生保制度(生保販売チャネル・バンカシュランス等、主に日本生命委託事項を中心とする研究)

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