2000年11月01日

古今の国勢調査に思う

経済研究部 主任研究員   石川 達哉

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10月1日に国勢調査が実施された。どうやら、5年後の次回調査における人口数が日本史上のピークとなりそうである。
ところで、近代的人口調査の起源が社会と経済の発展を人口数を通じて追認するという目的に由来することをご存知だろうか。スミスの「国富論」やマルサスの「人口論」が書かれたのは18世紀末だが、英国で国勢調査が開始されたのはそれより後の1801年である。もっとも、近世以前の人口調査については、主たる目的は徴税ベースの把握にあった。現在の調査は純粋に統計法に基づくものだが、その意義はこれらの目的と全く無関係とは言えないであろう。ちなみに、わが国で現行の国勢調査が最初に実施されたのは大正9年(1920年)である。内務省による戸籍調査ならば、明治5年(1872年)から行われている。
しかし、明治以前の全国規模の人口調査となると、江戸時代に徳川吉宗によって始められた幕府の調査と、大化の改新(!)直後の戸籍調査くらいしか存在しない。集権的な力も行使できる中央政府が存在し、社会も安定していなければ人口調査など行えないから、諸外国でも17世紀以前には全国規模の人口調査などほとんどみられない。その中で驚くべき例外と言えるのが中国である。現存の最古戸籍は前漢末期の紀元2年まで溯ることができる。注目されるのは、漢代の税制が意外なほど充実していることである。

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経済研究部   主任研究員

石川 達哉 (いしかわ たつや)

研究・専門分野
財政・税制、家計貯蓄・住宅

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