1990年02月01日

日米構造協議の行方

  細見 卓

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1月に予定されていた日米構造協議の第3回会合は、日本側の申し出によって衆議院選挙後に延期されることとなった。このことは問題の解決を容易にするのではなく、むしろ日本側のより徹底した対応を必要とする結果になるであろう。いずれにしても、3月中には中間報告をするという段取りは変更されておらず、これを延期することは一度延ばしているだけに、事態を一層こじらすことになろう。このような状況は、スーパー301条問題の激しい衝撃を緩和するものとして日米構造協議に臨んだ日本側の期待に反して、手形を振り出して後の決済に苦慮しているといった感がある。

日米構造協議のテーマとして取り上げられている事項は、いずれも前川レポート等で日本経済の改めるべき欠陥として指摘されたものであり、その改善は日米関係の摩擦解消というよりは、日本経済の質的な向上に不可欠だと日本側でも認めてきたことばかりである。もしここでこの構造協議にからんで、日本側の改善なり対応なりが不十分であるということになれば、スーパー301条適用の問題よりも更に根本的に日本経済異質論者に好個の拠り所、論点を提供することになりかねない。従って、乙の構造改善問題の帰趨は、激変する世界経済環境のもとで、日本が引き続き資本および産業技術の先進国として世界経済の枠組みの中で重要かつ確実な地歩を占めることを困難にし、日本経済に孤立化という不幸な道を辿らせることにもなりかねない。このようなことから、この日米構造協議は是非とも成功させねばならない緊要な課題となってきている。しかしながら、前川レポート以後数年を経たにもかかわらず、未だその完全なる実現をみていないことから明らかなように業界および官僚の既得権確保の態度は固く、これを打破するのには一大政治決心と強い指導力が必要である。今度の総選挙によって、日本経済の将来を決する日米構造協議において断固とした改善を約束できるような政治的環境の出現を切に望みたい。

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